SBSTTA28は4日目を迎え、会議の中心は完全にコンタクトグループへ移りました。複数の交渉が同時並行で行われる日程となり、各国代表団は限られた人数で複数の会場を行き来しながら交渉に対応する、国際会議ならではの忙しい一日となりました。ENB(Earth Negotiations Bulletin)でも、会場全体が複数のコンタクトグループを軸に動き、COP17に向けた勧告文書の具体的な調整が本格化した一日として紹介されています。
この日の主な日程は、午前に海洋・沿岸生物多様性(10:00~13:00)、IPBES(10:00~12:00)、GBFモニタリング枠組み(12:00~14:00)が開催され、午後にはPMRR(Planning, Monitoring, Reporting and Review)が15:00から18:00まで実施されました。さらに夜には、合成生物学と保護地域作業計画のコンタクトグループが19時30分から22時30分まで続き、朝から夜遅くまで交渉が続く一日となりました。
IPBESでは「ビジネスと生物多様性評価」の活用を議論
傍聴したIPBESに関するコンタクトグループの内容を軽くご紹介します。
議論では、2025年にIPBESで承認された「ビジネスと生物多様性評価(Business and Biodiversity Assessment)」を、各国がどのようにGBFの実施へ活用していくかが中心テーマとなりました。
各国政府には、企業の取組を後押しする政策や制度の整備、能力構築、データ基盤の充実などを進めることが求められる一方、企業や金融機関自身にも、自然への依存や影響を評価し、その結果を経営戦略や投資判断へ反映させることの重要性が改めて確認されました。
また、
- 自然関連情報開示の促進
- サプライチェーンにおけるトレーサビリティの向上
- 科学的知見と先住民・地域コミュニティ(IPLC)の知識の統合
- 企業、金融機関、政府、研究機関、市民社会など多様な主体との協働
といった点についても各国から幅広い意見が示されました。
企業活動を生物多様性保全の重要な担い手として位置付ける議論が進んでいることは、近年のCBDの特徴の一つであり、ネイチャーポジティブの実現に向けて民間セクターへの期待が一層高まっていることがうかがえました。
PMRRでは「グローバルレビュー」の示唆を検討
午後は、PMRR(Planning, Monitoring, Reporting and Review)のコンタクトグループが開催されました。
議論では、昆明・モントリオール生物多様性枠組(KMGBF)の実施状況を初めて包括的に評価した「グローバルレポート(Global Report on Collective Progress)」のキーメッセージを基礎として、その結果が今後の実施に何を示唆するのかについて意見交換が行われました。
参加国の間では、「23すべてのターゲットで一定の進展は見られること」一方で「2030年目標の達成には実施を大幅に加速する必要があること」について共通認識が示されました。
また、多くの国から、資金不足、能力構築の不足、データやモニタリング体制の不足が依然として大きな課題であるとの指摘があり、特に途上国や島嶼国への支援強化の必要性が繰り返し強調されました。
ENBでも、この日のPMRRでは、単に世界全体の進捗を確認するだけではなく、「レビュー結果を今後の政策改善へどのようにつなげるのか」という点が議論の中心になりつつあることが紹介されています。
夜も続く交渉 COP17に向けた文書作成が本格化
夜には、合成生物学と保護地域作業計画のコンタクトグループが開催され、交渉は夜遅くまで続きました。
会期も後半に入り、各コンタクトグループではCOP17へ提出する勧告文書の具体的な文言調整が本格化しています。特に保護地域、PMRR、海洋・沿岸生物多様性、合成生物学といった主要議題では、科学的知見と政策的判断の双方を踏まえながら、各国の立場の違いを調整する難しい交渉が続いています。
今後の注目点
4日目を終え、SBSTTA28は「COP17に向けた勧告文書をまとめる交渉の場」へと大きく様相を変えています。
特に今回印象的だったのは、IPBESで企業や金融機関の役割が改めて強調されたこと、そしてPMRRでは、GBFの実施を社会全体で支える仕組みとして「Whole of Society」の考え方が一層重視されていることです。今後は、これらの議論が最終勧告にどのような形で盛り込まれ、あるいは、何が交渉継続事項([ ] ブラケット)のこととして、10月のCOP17での意思決定につながっていくのかが大きな見どころとなります。























