2022年に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)とそこで示した「2030年までに生物多様性の劣化を止め、回復へと転じる」いわゆるネイチャーポジティブの中間年として、「これまでの成果をどう評価し、次の政策につなげるか」という段階へと移りつつあります。2026年2月に開催されたSBI-6では、資金、能力構築、国別戦略、レビューなど「実施」を支える制度が議論されました。そして今回開催されるSBSTTA-28(第28回科学技術助言補助機関会合)では、第27回会合を踏まえ、科学的・技術的基盤について集中的な議論が行われます。

SBSTTA(Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice)は、生物多様性条約(CBD)の科学・技術面を担う常設機関です。COP(締約国会議)での政策判断を支えるため、科学的知見や技術的助言を整理し、勧告を取りまとめる重要な役割を担っています。

今回のSBSTTA-28は、2026年7月27日から8月1日まで、ケニア・ナイロビにあるUNEP(国連環境計画)本部で開催されます。会議では、COP17(アルメニア)に向けた勧告文書の取りまとめが進められます。議題は以下のとおりです。

主な議題

  1. 開会
  2. 組織事項(役員選出、議題採択、作業計画)
  3. 計画・モニタリング・報告・レビュー(PMRR)
     - 昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)の実施状況に関するグローバルレビュー
     - KM-GBFモニタリング枠組
  4. IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム)の作業計画
  5. 合成生物学
  6. 持続可能な野生生物管理
  7. KM-GBF実施を支える科学・技術的課題
     - 保護地域作業計画の戦略的レビュー及び更新
  8. 海洋・沿岸生物多様性
  9. その他
  10. 報告書採択
  11. 閉会

今回の会合では、今年予定されている初めてのグローバルレビューに向けた評価手法やモニタリングのあり方に加え、保護地域(Protected Areas)やOECM、海洋生物多様性、IPBESとの連携など、日本にとっても関心の高いテーマが数多く議論される予定です。また、合成生物学や野生生物利用など、科学的知見と政策判断が交差する論点も注目されます。

国際自然保護連合(IUCN)日本委員会では、現地に参加し、会議の進行や主要論点、日本への影響、各国・関係機関の動向などをできる限りタイムリーにお伝えしていきます。政府発表だけでは見えにくい交渉の背景や、会場で交わされる議論、今後のCOP17につながるポイントについても、現場から解説していく予定です。

本報告は、経団連自然保護基金、地球環境基金および国際自然保護連合日本委員会へのご寄付等をもとに、IUCN-Jに関わる専門家派遣が実現しています。


国際自然保護連合日本委員会 
会長 道家哲平