SBI7最終日の8月12日は、これまでのプレナリーやコンタクトグループで積み上げてきた交渉成果を、COP17への勧告として次々と採択する一日となりました。

午前中には、資源動員、資金メカニズム、能力構築、主流化、グローバルレビューなど、SBI7を通じて長時間の交渉が行われてきた主要議題が相次いで採択されました。

一方、最後まで調整が続いたのが、デジタル配列情報(DSI)でした。午後のプレナリー開始も遅れ、一時休会を挟んで最後の妥協案を探る展開となりましたが、最終的には文章をまとめ、SBI7のすべての審議を終えることができました。

資金、能力構築、主流化――主要文書を次々と採択

その後、これまでCRPで検討してきた文書がL文書となり、次々と採択されました。

この日採択された文書には、

  • クリアリングハウスメカニズム(CHM)と知識管理(L.5)
  • コミュニケーション、教育及び普及啓発(CEPA)(L.6)
  • 能力構築・能力開発(L.7)
  • 生物多様性の主流化(L.8)
  • 資源動員(L.9)
  • GBF実施のグローバルレビュー(L.10)
  • 資金メカニズム(L.11)
  • 自治体参画(L.12)

などが含まれます。

数日間にわたりコンタクトグループで一文ずつ交渉してきた主要議題が、COP17への勧告として形になりました。

ただし、「採択」は必ずしもすべての論点について合意したことを意味しません。文書の中には[ ](ブラケット)が残された部分もあり、資金供出者の裾野、能力構築を国際的に調整する仕組み、グローバルレビューを受けた行動強化など、政治的な判断が必要な論点はCOP17に送られることになります。

最後まで残ったDSI――カリ基金を巡り最終調整

午後のプレナリーは、デジタル配列情報(DSI)を巡る調整が続いたため、予定より遅れて始まりました。

最後の焦点の一つとなったのが、DSIの利用から生じる利益を配分するために設立されたカリ基金(Cali Fund)に関して締結された覚書(MoU)を、SBIの勧告の中でどのように扱うのかという問題でした。

カリ基金はCOP16で、DSIの利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分する多国間メカニズムの一部として設立されたものです。その運用を具体化していく上で、基金の制度的な位置付けや運営のあり方も重要になっています。

この問題を巡って各国の意見がまとまらず、プレナリーは一度休会となりました。

約40分後に会議が再開されると、ブラジルを中心に調整された文章が提示され、最終的に妥協が成立。DSIに関する文書も採択されました。

最終日の最後まで交渉が続いたものの、DSIについてもCOP17に向けた勧告をまとめることができました。

すべての報告を確認し、SBI7閉会

DSIの採択後、会議報告書を確認し、SBI7はすべての議題を終了しました。

閉会にあたっては、ロシアから、アストリッド・ショーメーカーCBD事務局長やSBI議長をはじめ、会議を支えた関係者への感謝が述べられました。

長時間のコンタクトグループや夜間交渉が続き、資金やグローバルレビュー、DSIなどで厳しい対立も見られたSBI7でしたが、最後は参加者から拍手が送られ、非常に明るい雰囲気の中で閉会を迎えました。

ナイロビからCOP17へ

8月4日に始まったSBI7では、GBFの実施をどのように加速するのかを巡り、幅広い議題が検討されました。

交渉を通じて繰り返し現れたのは、「GBFの達成に向けて、さらなる行動を求めること」と、「その行動を可能にする資金・能力・技術などの実施手段を確保すること」をどう組み合わせるのかという問題でした。

また、資金についても、先進国から途上国への支援を強化することに加えて、資金供出者の裾野、民間資金、DSIを通じたカリ基金など、より多様な資金源をどう位置付けるのかが議論されました。

SBI7は、こうした問題にすべて答えを出したわけではありません。しかし、合意できるところまで文章をまとめ、合意できない部分についても論点を明確にした上で、COP17へとバトンを渡しました。

ナイロビで積み上げられた勧告をもとに、COP17では、「GBFが目指す2030年の世界に向けて、実施をどのように加速するのか」という、より政治的な判断が求められることになります。


国際自然保護連合日本委員会

会長 道家哲平