SBI7の7日目となる8月10日は、午前中にプレナリーでCRP(Conference Room Paper)の審議を進め、午後から夜にかけては、資源動員、資金メカニズム、デジタル配列情報(DSI)、計画・モニタリング・報告・レビュー(PMRR)など、重要議題のコンタクトグループが続きました。

会議も終盤に入り、すべての論点についてSBI7で合意することを目指すだけではなく、合意できた部分を確定するとともに、合意できない部分を[ ](ブラケット)として明確にし、COP17での交渉に送る作業が目立つようになっています。

午前:CRPを一つずつ処理

午前のプレナリーでは、これまでのコンタクトグループ等での議論を反映したCRPの審議が続きました。

カルタヘナ議定書については、第5回有効性評価・レビューと能力構築行動計画の中間評価に関する勧告案が承認されました。ただし、一部には未解決の[ ]が残されています。

また、合成生物学についても、能力構築・能力開発、技術・知識へのアクセスと移転、知識共有などを盛り込んだテーマ別行動計画に関する勧告案が承認されました。一方、一部の論点については合意に至らず、COP17で引き続き交渉されることになります。

名古屋議定書の第2回有効性評価についても審議が続き、ABSクリアリングハウス、非商業的研究のための簡素化された手続き、遵守、グローバルな多数国間利益配分メカニズム、カリ基金など、幅広い論点が検討されました。

続いて、クリアリングハウスメカニズム(CHM)と知識管理に関するCRPの審議に入りました。ここでも、CHMの作業計画や知識管理戦略を実施するための資金をどこから確保するのかが論点となりました。この日はパラグラフ9まで審議したところで予定時間となり、残された部分やCEPA、自治体参画などのCRPについては、次回のプレナリーに持ち越されました。

資源動員―「資金供出者の裾野」をどう広げるのか

13時30分から14時30分にかけては、資源動員について締約国によるFriend of Chair協議が行われました。

焦点となったと思われる(コンタクトグループの議論を聞く限り)は、contributor base(資金供出者の裾野)の拡大です。

CBDでは、条約第20条などに基づき、先進国から途上国への資金提供が実施手段の基本的な枠組みとなっています。一方、条約採択から30年以上が経過し、世界経済の構造も大きく変化しました。今回特に議論されたのが、

“developed country Parties and other Parties that voluntarily assume the obligations of the developed country Parties”

という資金供出国に関する考え方です。

前日の交渉でも「現在、資金を供出する能力を持つ国をどのように考えるのか」が論点となりましたが、この日はさらに踏み込み、関連する国のリストを更新することについて、会議中に提案された3つの案や、それらを今後どのように扱うかが検討されました。

これは単純に「より多くの国から資金を集める」という問題ではありません。CBDにおける先進国と途上国の責任のあり方にも関わるため、資源動員の中でも政治的に難しい論点の一つとなっています。

資金メカニズム―「合意できなかった場所」を明確にする

14時30分から16時30分にかけては、資金メカニズムとDSIの交渉が並行して行われました。

資金メカニズムのコンタクトグループでは、これまで協議できた文章を改めて確認しながら、合意できる部分について[ ]を外す作業が進められました。

一方、残された時間ですべての文章を交渉することは困難になったことから、終盤には、まだ十分に協議できていない項目やCOP17でさらなる交渉が必要な部分を明確にするため、該当する文章を[ ]で囲む作業も行われました。何については合意でき、何についてはまだ合意できていないのかを正確に示した状態でCOP17に送ることも、SBI7の重要な役割になっています。

夕方から夜も、資源動員、PMRR、DSIの交渉

16時30分から18時30分にかけては、再び資源動員の交渉が行われるとともに、PMRRの報告枠組みに関するパートBについても協議が続きました。

資源動員の交渉では、お昼に扱った議論をどうSBIで積み重ねた議論としてまとめるかが焦点となりました。一部の国からは、どんな案が提起されたかすら文書として残すことへの懸念があり、持ち越し課題となりました。

さらに19時30分からは、DSIに関する交渉が続きました。このほか、この日は資源動員、DSI、GBF実施のグローバルレビューについて、より少人数で妥協点を探るFriends of the Co-Chairs形式の協議も行われています。

「実施のための資金」がさまざまな議題で繰り返し登場

8月10日の交渉を通じて改めて目立ったのが、資金の問題が「資源動員」だけの問題ではないということです。

資源動員や資金メカニズムはもちろん、カルタヘナ議定書、合成生物学、名古屋議定書、CHM・知識管理、能力構築など、さまざまな議題で「誰が実施を支え、そのための資金をどこから確保するのか」という問題が繰り返し現れています。GBFの目標をどこまで高く設定するかという「意欲(ambition)」だけではなく、それを現実の行動に変えるための実施手段(means of implementation)をどう確保するのか。

すでに、数多くの交渉文章に[ ] ブラケットがつきました。SBI7の終盤では、こうしたCOP17に向けた政治的な争点を、残り二日でもう一度議論するのか、そのままCOP17に先送るのか、注目していきます。

UNEPのカフェで頼んだコーヒー。日本にあるプラスチックの蓋はありません。また、持参のボトルにももちろん入れてくれます。


国際自然保護連合日本委員会

会長 道家哲平