SBSTTA26、SBI4では数多くのサイドイベントが開催されました。*公開時、SBSTTA26のサイドイベントを紹介していましたが、SBI4のものとを合わせてまとめて紹介する方が整理してみられるため、独立のページにしました。

サイドイベントの成果:SBSTTA26/SBI4

このSBSTTAは、生物多様性プランをどう実施するかという一言に集約出来ますが、サイドイベントでは、この間に開発が進んだ手法や開発中の仕組みや指針、事例等を紹介する内容のものが多かったように感じます。サイドイベントは、高い旅費を費やして国際会議に参加した人だけの特典みたいなものですが、ご紹介します。

議題4ではGBF全体について、あるいは議題8では海洋沿岸生態系プログラムに置いて、既存のツールの掘り起こしと、ギャップの特定を行っています。オフィシャル資料(CBD/SBSTTA/26/2CBD/SBSTTA/26/3)や参考資料( CBD/SBSTTA/26/INF/15, ★CBD/SBSTTA/26/INF/16/Rev.1 and CBD/SBSTTA/26/INF/19)は非常に充実しています。★をつけた16は特に情報量が多いです。

サイドイベントでは、この中の、特にSBSTTAの議題にそってお勧め!というガイドや、ガイドやツールを探せるツールが紹介されました。一覧の形ですが紹介します

<ターゲット1 空間計画>

GEO-BONNでは、GLOBAL ECOSYSTEMS ATLASというウェブサイトを構築中です。生物多様性を組み込んだ空間計画は、陸域でも海域でもまだ模索が続いているのですが、空間計画を作る様々なツールをここで提供する予定だそうです

この取り組みを下支えするものとして、世界の生態系を共通言語として定義づけるIUCNの仕事である地球規模生態系分類(IUCN Global Ecosystem Typology)というものがあります。例えば、淡水、には、河川等の流水系と、湖沼のような止水系と、人工的な湿地(ダムや田んぼ)などで分類でき、それぞれの系(システム)を成り立たしめている要素をまとめました。システムを支える要素とその危機が分からないと、システムの再生や復元は考えられません。この生態系分類の作業から、生態系復元活動の分類(IUCN Restoration Intervention Typology for Terrestrial Ecosystems)も生まれています


<ターゲット2 再生>

生態系復元は、2021年から2030年までが国連生態系復元の10年と言うことで、UNEPやFAOが主導する形で、様々なガイドラインが生まれています。FAOとIUCNと国際生態系復元学会で作成したStandards of practice to guide ecosystem restoration A contribution to the United Nations Decade on Ecosystem Restoration 2021–2030が報告されていました。

サイドイベントで紹介されましたが、淡水生態系に関する復元ガイドもCOP16で紹介される予定です

<ターゲット3 30by30>

30by30の達成に向けた野心国連合であるHigh Ambition Coalition for People and Natureでは、30X30
SOLUTIONS TOOLKITというウェブサイト(https://www.30×30.solutions/)を作成しました。長い長い文章の目標3を分解して出てくる

  • 場所(陸域、海洋沿岸、淡水、生物多様性上重要な地域、重要な生態系サービスを提供する場)
  • 要素(効果的、連続性、代表性、公正、保護地域、OECM、先住民地域共同体保全地域、景観レベル)
  • 配慮(持続可能な利用、先住民地域共同体の権利)

毎にその解説と最も参考となるガイドラインやツールのポイントを紹介しています。HACのメンバー(国)には、技術や資金を持った団体とのマッチングの仕組みも開発されています。

FAOは二つのガイドを発表しました。
一つは、地域をベースとした保全手法と海洋漁業について
https://ebcd.org/wp-content/uploads/2023/04/2023-04-08-FEG-ABMT-Master-15-1.pdf

もう一つは、OECMの指定に特化した、海洋漁業地域をOECMにする際のガイドです。
https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/822cfedc-a209-4b73-ac2e-b3cb4c10f3eb/content

<ターゲット4 種の保全>

生物種の保全については、前回のSBSTTAやIUCNリーダーズフォーラムで紹介されたIUCN Global Species Action Planがありますが、今回、ターゲット4の要素になっている「人と野生動物の衝突」についてIUCNのガイドライン IUCN SSC guidelines on human-wildlife conflict and coexistence : first editionも紹介されています。貢献した研究者に日本人は入っていませんが、日本の人と野生動物との共生の施策を考える際の頭の整理に有用な内容が入っています。 

SBI4では、GSAPのための技術を広く展開するためのオンライン知識情報プラットフォームの立ち上げが紹介されました。この開発にはバイオブリッジプロジェクトという科学技術協力に関心のある韓国政府がIUCNと実施した事業です。ちなみにこのサイドイベントは、日本における生物多様性国家戦略の更新から得られた教訓を紹介するサイドイベントと同時間帯に開催されました。両イベントとも盛況だったと聞いています。世界に寄与する情報発信について、いい意味で日韓対決が実現していました(勝敗はありませんが)。

国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平

*今回の国際情報収集・発信業務は、経団連自然保護基金、地球環境基金の助成、ならびに、IUCN-Jへのご寄付を基に実施しています。このような情報発信を継続するためにも、IUCN-Jの活動へのご寄付をお願いします