グリーンウォッシュとは

環境に配慮したかの様に見せかける、
実態が伴わない行動や表現を指します

グリーンウォッシュは、私たち消費者や投資家に誤解を与え誤った選択を許してしまうだけでなく、真に環境に配慮した活動を分かりづらくさせ、私たちの行動変容にも悪影響を与える点で、ネイチャーポジティブの実現に向けても無視できない重大な課題です。

サステナビリティ意識の高まりと共に、企業や団体が自らのビジョンや取り組みを発信していくことが提唱される一方で、その表現や発信方法に対する明確な基準はなく、時には「グリーンウォッシュをしている」と批判されるリスクを伴います。

グリーンウォッシュの事例には、企業の事例がよく取り上げられますが、環境に配慮した活動の広報や表現(グリーンコミュニケーション)を通して、そのリスクは、企業、金融機関、国、自治体、NGOと、あらゆる団体に及びます。
また問題のあるグリーンコミュニケーションには、以下の様なものが含まれます。

グリーンウォッシング

green washing

故意に実態以上に見せかけること

グリーンハッシング

green hushing

批判への恐れから情報を隠してしまうこと

グリーンウィッシング

green wishing

希望と現実に差がある取り組み

グリーンボッチング

green botching

意図と反してマイナスの結果が生じている取り組み

故意に行うものばかりでなく、むしろ意図せず起きてしまう場合が多いのではないでしょうか。
例えば、気候変動対策の一環で行われた風力発電やメガソーラー事業が、地域に生息する鳥などへの影響や、森林の伐採や土地転用につながり、自然の生息地を直接破壊しているという点で、生物多様性の観点からグリーンウォッシュと指摘されるケースも珍しくありません。

問題のあるグリーンコミュニケーションは
何故発生してしまうのか?

グリーンコミュニケーションの課題内容により様々考えられますが、共通して以下のことが考えられます。

  • 明確な指標や守るべきルールが定まっていない
  • 国際社会での合意や科学的見解 (自然の相互依存関係や、トレードオフ等)への理解不足
  • 部分的な取り組みとなり、本業と深く結びつけられていない・全体的な視点が不足している
  • (特に生物多様性の文脈では)地域におけるニーズ・ステークホルダーとの対話の不足

問題のあるグリーンコミュニケーション具体例と発生要因

グリーンウォッシング( green washing )

  • 環境意識の高い顧客へアプローチするための誇大広告、虚偽のラベリング
  • “自然”と関係なく“グリーン”という用語を使用
  • 根拠を欠いた環境配慮型の取り組みや広報
主要課題 要因
信頼性の
欠如
  • 広報活動自体が目的化してしまっている
  • 短期的な経済的利益を追求している
  • 自然環境への貢献度・寄与状況が不明瞭
  • バリューチェーンと環境活動とを個別に据える等、統合的な視点が不足している
  • 明確なルール、規制等がないことにより、独自の解釈、誇張や隠蔽を許している
  • ファクトチェック等をせず、安易に鵜吞みにしてしまう、受け手側のメディアリテラシーの不足

グリーンハッシング( green hushing )

  • エコロジカルフットプリントの削減、再生可能エネルギーへの転換に積極的なものの、批判や精査を回避するため、対外的に公表しないこと
  • 自然への貢献度、インパクト状況が不明瞭であったり、根拠に欠け、開示・公表していない状況
主要課題 要因
透明性の
欠如
  • レピュテーションリスク(信頼損失)への恐れ
  • 規制や基準が流動的な中での公表への躊躇い
  • 自然環境への貢献度・寄与状況が不明瞭
  • バリューチェーンと環境活動とを個別に据える等、統合的な視点が不足している
  • 明確なルール、規制等がないことにより、独自の解釈、誇張や隠蔽を許している

グリーンウィッシング( green wishing )

  • 野心的な目標を設定しなければならないというプレッシャーから、非現実的な目標を設定すること
  • 野心的な目標を掲げたものの、具体的な戦略や実行計画を欠いている状況
主要課題 要因
戦略・
行動計画の
欠如・不適合
  • レピュテーションリスク(信頼損失)への恐れ
  • バリューチェーンと環境活動とを個別に据える等、統合的な視点が不足している
  • 明確なルール、規制等がないことにより、独自の解釈、不履行を許している
  • 必要な情報・ガイドラインやツールの不足や、アクセスがない
  • 自然環境への貢献度・寄与状況が不明瞭
  • 地域におけるニーズと手法の不整合
  • 地域・領域横断での各ステークホルダーとの十分な対話がなされていない

グリーンボッチング( green botching )

  • 環境保全(例、気候変動対策)を目的に講じた施策が、地域の生態系に負の影響をもたらしていること
  • 生態系損失の原因となっている根本的な問題に取り組むことなく、オフセットを優先するような政策をとること
主要課題 要因
ノウハウ・
手法の
欠如・不適合
  • バリューチェーンと環境活動とを個別に据える等、統合的な視点が不足している
  • 明確なルール、規制等がないことにより、独自の解釈、誤った手法の選択を許している
  • 必要な情報・ガイドラインやツールの不足や、アクセスがない
  • 自然環境への貢献度・寄与状況が不明瞭
  • 多様な環境属性やトレードオフへの認識の甘さ
  • 地域におけるニーズと手法の不整合
  • 地域・領域横断での各ステークホルダーとの十分な対話がなされていない