一日(だけ)の休憩を挟み、SBI4の五日目となる5月26日は、午前に残された議題(名古屋議定書運営の評価(議題9)、CBD事務局運営の効率性(議題11)、多年度計画(COP19-2030年)までの議題(議題12)、予算(議題13)の読み合わせを行い、午後には、資源動員のコンタクトグループと、非政府主体の貢献の仕組みに関するスモールグループ、夕方に、能力養成・科学技術協力と計画・モニタリング・報告・レビューのコンタクトグループを開催しました。

資源動員のコンタクトグループは、締約国から非常に多くの意見が交わされ、主要な論点が浮き上がっているという意味では有意義なのですが、合意としてはまとまらず、参加者からも苛立つ声も出てきました。

生物多様性プランのロゴの意匠

5月22日生物多様性の日に、生物多様性プランのバッジが配られ、目に見えるところに掲示している人が増えました。JUSCANZの部屋ではシールも配られていたという話も聞いています。直ぐになくなり、プレミアはつかないでしょうが、希少なバッジです。

さて、この一見不思議なマークについてご紹介しようと思います。

このデザインの発想元はブルノイ図(またはボロノイ図)と呼ばれるものです。「2つ以上の任意の点の双方の距離が等しくなる地点を描画すると出てくる図形」という数学的に表現されつつ、自然界によく出てくる形です。

「生物多様性プランのアイデンティティは、自然の美の本質をとらえ、23の要素から構成されている。各要素はターゲットの1つを表し、相互のつながりを反映した統一的な全体を形成し、世界的な行動の必要性を示しています。ロゴは、地球上のすべての生命とのつながり、そして私たちを取り巻く複雑な美しさを象徴しています。」とロゴのブランドガイドラインでは説明されています。

良くわからない図という感想を持つ人もいるのですが、私は気に入っています。

とても悲しいことですが、隣を自分色に塗りつぶそうとする人(や国)の振る舞いを、世界でも日本でも日々目にします。

このブルノイ図は、そんな人の振る舞いの一方、生命は共生するために環境(地球/自然)の中で自らの形を変えて、その中でおさまる姿を描き出す事を示しています。もし仮に24番目の目標がやってきても、24番目の目標をはじき出すこともなく、新しい形のロゴを描き出すことでしょう。23の目標一つ一つの形は、歪つになってしまうのだけれど、互いに場所を譲り合って、適切な距離を作り、全体として調和をとります。

このロゴの作成に関わったデザインチームは、SDGsの17のロゴを作成したJakob Trollbäc氏です。持続可能な開発の定義は「未来世代のニーズを損なうことなく、現在世代のニーズを満たすこと」ですが、今それが実現してない状況というのは、いわば、加わるはずの世代のニーズを、今地球に生きる私たちが、自分たちの誤った姿を変えることなく、追い出す、あるいは、地球の一員になれないようにしている姿なのだと、SDGsを深く理解しつつJacob氏が提案されたメッセージなのかもしれません。(多分に、勝手な解釈ですが)

デザインチームは、もう一つクリエイティブを作っています。そのコピーが、「Stay Alive. The Biodiversity Plan For Life on Earth こうして生き続ける 生物多様性プラン 地球に生きる命のために」。

ナイロビに来ている交渉官が、勝ち取ろう、勝ち取ろうと自国の主張を行うのではなく、譲り合って調和の姿を描き出す議論を見たいと思います。

国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平

*今回の国際情報収集・発信業務は、経団連自然保護基金、地球環境基金の助成、ならびに、IUCN-Jへのご寄付を基に実施しています。このような情報発信を継続するためにも、IUCN-Jの活動へのご寄付をお願いします