SBSTTA25に続き、生物多様性条約第4回条約の実施に関する作業部会が5月21日始まりました。

この会合は、土曜日1日の休憩を挟みつつ、5月29日まで続きます。SBIの議長は、インドのチラ・アカレンダー・レディ(Chirra Achalender Reddy)氏です。

イラン大統領の事故やケニアで今月上旬まで続いていた豪雨・洪水の被害者に弔意を述べることから始まり、インガーアンダーセンUNEP事務局長やデイビット・クーパー事務局長代理、議長国である中国代表による、今回の会合の重要性を強調する開会挨拶をいただき、開会しました。

開会にあたり、各地域やステークホルダーからの声明も行われました。議題の採択にあたっては、今回設定された議題数の多さと議事資料の公開が遅かったことへの懸念表明が相次ぐなど、非常に議題盛沢山の会議となっています。午前と午後、議題2「実施状況のレビュー:国別目標設定の進捗状況と、生物多様性国家戦略および行動計画の更新」と、議題3「計画、モニタリング、報告、レビューのためのメカニズム」(一部)の声明が終わりました。予定では資金に関する議題4まで行うつもりだったので、若干ゆっくりとしたスタートといえます。

生物多様性国家戦略の策定状況のレビュー(議題2)

会議文書によると、8ヶ国が生物多様性国家戦略(NBSAP)の改定を実施していることが報告されています(中国, 欧州委員会,フランス, ハンガリー, アイルランド, 日本, ルクセンブルク、スペイン。最新の状況が見られるのはこちらのURLです(英語))。本来の議題の意図としては、各国の国家戦略策定状況やそこで設定された国ごとの目標設定状況を基に議論する予定のものでした。

事務局からは、NBSAPに関する地域対話の成果が共有され、伝統的知識の保護等先住民地域共同体(IPLC)と作り上げている8条(J)項関連作業プログラムの改定については、昨年11月にジュネーブで開催された8(J)作業部会で作業プログラムおよびCOP16提言案がまとめられていることが報告されました。8(J)関係はCOP16で協議したい趣旨が議長から示されました。

NBSAPの更新については、COP15決定によって、COP16前に実施し、共有することが、締約国に求められています。この議題では、途上国中心に、NBSAP策定のための適切で時宜にかなった能力養成や資金や技術的支援を求める声が多く出されました。

一方、生物多様性プランに基づくNBSAPの作成(改定)については、地域レベルでの対話も進んでおり、人と自然の野心国連合(High Ambition Coalition for People and Nature)による支援ツールなどの充実も進んでいます。なお、アジア太平洋の地域ワークショップは日本で開催されていました。

本会議では、複数の国から改定に向けて順調に取り組んでいることが報告されました。COP16開催時期には、もう少し状況が変わっているかもしれません。生物多様性日本基金による支援や、地球環境ファシリティ―による108ヶ国への支援も動いています。まだまだ資金が足りないと指摘する国もありましたが。

ステークホルダー(先住民、ジェンダー、ユース)からは、各ステークホルダーをNBSAPの設定から実施、その評価まで参加させること、参加や実施におけるステークホルダー参画の指標を設定することが重要として、生物多様性プランにとって重要な「あらゆる社会の参画(Whole-Society Approach)」「あらゆる政府の参画(Whole-Government Approach)」の実現を訴えました。ステークホルダーが声明を読み上げると、拍手をして連帯を表現しています。

グローバルサウスの市民団体が集うCBDアライアンスは、生物多様性国家戦略作成だけでなく、生物多様性に対する負の補助金の転換や廃止などの政府の資金の流れにもメスを入れるべきとの主張を展開しました。

その他にも、国連難民高等弁務官事務所 (United Nations High Commissioner for Refugees)からは、生物多様性国家戦略に人権ベースアプローチを組み込むことの重要性を訴えました(そのためのガイダンスGuidance on integrating human rights in National Biodiversity Strategy and Action Plans (NBSAPs)も発表されています)

Business for Natureからは、企業からの自発的なコミットメントでは不十分であり、国家戦略や非政府主体による行動が重要として、企業を含むあらゆる参加を求める発言がありました。

本議題については、CRP文書の作成が議長によって宣言されました。

計画、モニタリング、報告、レビューのためのメカニズム(議題3)

この議題は、GBFの国内・世界での実施とそのためのPDCAサイクルを作るための議題となっています。COP15決定で、国内実施の仕組みである生物多様性国家戦略(生物多様性条約6条で締約国の義務となっている)を作り、また、2030年までに、2回国別報告書を提出し、両方の文章やその実施状況を基にしたグローバルレビューを作成することなどが決まっています。

このグローバルレビューには、多次元アプローチ(multidimensional approach)と名付けた様々な情報を組み合わせた評価が必要という方針をCOP15で定めており、その具体化が、協議の焦点となっています。 このSBI4では、モニタリング全体、モニタリングや実施を補強する仕組みとして、国別報告書のフォーマット、 自主的国別ピアレビューフォーラム、非政府主体による貢献の報告、グローバルレビューのための専門家会合の設立など複数の要素を検討することとなっています。

この評価に関しては、国によって立場が分かれていて、締約国主導を重視する国(穿っていえば、外部からいろいろ言われたくない国、自国の評価は政府が集約したい)からすると、国別ピアレビューフォーラムのように他国から、非政府主体による貢献などのように民間から声を拾うことに懐疑的あるいは慎重な意見が寄せられます。多次元アプローチは同意するものの、グローバルレビューのための専門家会合は、専門家グループやSBSTTAの取組みとの重複感があり、工夫を求める意見もありました。オブザーバーの意見は二日目のプレナリーで発表され、コンタクトグループの設立が宣言されました。

国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平

*今回の国際情報収集・発信業務は、経団連自然保護基金、地球環境基金の助成、ならびに、IUCN-Jへのご寄付を基に実施しています。このような情報発信を継続するためにも、IUCN-Jの活動へのご寄付をお願いします