第2回グローバルネイチャーポジティブサミット開催

2026年7月14日から15日に熊本市で第2回グローバルネイチャーポジティブサミットが開催されました。27か国から約2,700人が参加し、生物多様性の世界目標「ネイチャーポジティブ」の実現に向けた議論が行われました。
注目したのは「ネイチャーポジティブをどう測るか」
今回のサミットに参加した目的の一つは、生物多様性の世界目標である「ネイチャーポジティブ」をどのように評価し、測定するのか、その現在地を知ることでした。
生物多様性は気候変動のように単一の指標で評価することが難しく、企業や研究機関などが独自の評価手法を開発してきた結果、現在では600種類を超える指標が存在すると言われています。そのため、「何を測ればネイチャーポジティブと言えるのか」が世界共通の課題となっています。

600を超える指標から共通の考え方へ

1日目の基調講演では、ネイチャーポジティブ・イニシアティブ(NPI)のマルコ・ランベルティーニ氏が登壇しました。
講演では、現在の評価指標が乱立している状況を踏まえ、それらを整理し、実際に活用できる共通のフレームワークへ移行していく必要性が示されました。また、「より大きな変容とは、おそらく文化・自然観の転換である」という言葉が紹介され、単なる技術論ではなく、人と自然との関係そのものを見直す必要性が強調されていたことが印象的でした。


示された4つの指標と2つの視点

今回特に注目したのは、NPIが示した評価フレームワークです。
ネイチャーポジティブを評価するために、

  • 生態系の範囲
  • 生態系の状態
  • 種の絶滅リスク
  • 種の個体数

という4つの指標を用い、それを「自社サイト」と「周辺地域」という2つの視点から評価する考え方が示されました。
まだ検討が続いている段階ではありますが、「何を測ればネイチャーポジティブへの貢献と言えるのか」が、これまでより具体的に整理されつつあることを感じました。

最新のツールとアプローチ

2日目のディスカッションでは、IUCNのRHINO、生物多様性データを活用した意思決定を支援するIBAT、NatureTechなど、企業や行政が実際に利用できるツールやアプローチも紹介されました。
評価の考え方だけでなく、それを現場で実践するための仕組みづくりも着実に進んでいることが分かりました。

まとめ

今回のサミットを通じて、生物多様性の世界目標「ネイチャーポジティブ」を評価する考え方は、まだ発展途上ではあるものの、世界共通の方向性が徐々に整理され始めていることを知ることができました。
600を超える指標が存在する状況から、「4つの指標」と「2つの視点」を軸とした共通の枠組みへ向かう動きは、今後、企業や自治体、地域での取組を進める上でも重要な基盤になると感じました。

最後に―熊本宣言に示された地域へのメッセージ

熊本宣言の最後には、「地域住民の暮らしを高め、社会的公正を推進し、取り残されたコミュニティをエンパワーする公正な移行を推進する」という趣旨のメッセージが盛り込まれました。
日本の地方では人口減少が進み、長年地域の自然を支えてきた世代の高齢化も急速に進んでいます。そのような地域では、国際的な議論に直接触れる機会は決して多くありません。
今回、IUCN-Jの皆様のご支援により、世界で進む議論を直接見聞きすることができました。国際会議で得た知見を地域へ持ち帰り、多くの人に伝え、それぞれの地域での実践につなげていくことが、私自身の役割であると改めて感じた2日間でした。

 

一般社団法人里山生物多様性プロジェクト
代表理事 野口浩二