リーダーズフォーラムは、私にとって、本格的に生きもの観察を始めてから初となる海外でした。日本と比較して、たくさんの気付きや感動を得られたので、今回観察できた生きものたちをご紹介します。

ドバイ

羽田空港から飛行機でドバイを経由して、スイスジュネーブへ向かいました。
ドバイ空港でも窓の外を眺めていたところ、早速シラコバトを見つけることができました。

日本では埼玉県等で稀にしか観察できず、埼玉県民にも関わらずこれまで見たことがなかったので、感動しました。まだ始まったばかりにもかかわらず、これまで見た事のなかった生きものに出会えて、わくわくが止まりませんでした。他にも、遠くて分からなかったのですが、カワラバトやカラスらしき鳥がたくさん飛んでいました。カワラバトはスイスや標高の高い場所でも見られ、その適応力に驚かされました。

スイス ジュネーブ

スイスジュネーブにはレマン湖という大きな湖があります。ここでは、ガン・カモ類、カモメ類等の水鳥が観察されました。マガモやオナガガモ、カワウ、ユリカモメ、カンムリカイツブリ、オオバンといった日本でも身近な種の他にも、アカハシハジロやアオガン、ハイイロガン等日本で見るにはかなり難しい種まで身近に観察することが出来ました

アオガンは、日本ではこれまで2例しか観察されていないガンで、見れたことに感動したものの、餌付けされて人馴れしており、近くで観察できる嬉しさと本来の生態では無い悲しさと複雑な気持ちになりました。餌付けの問題は環境先進国と言われるヨーロッパでも認知は進んでいないようでした。

レマン湖は透明度が非常に高く、オオバンの弁足やコブハクチョウの採食行動など、水鳥たちの水面下での生態や形態を間近に観察出来ました。日本では水面下が見えないことが多く、今回オオバンの弁足を観察・撮影できたことがとても嬉しかったです。

湖の中にはたくさんの水草が生えており、魚の姿はあまり見られませんでしたが、パッと見ボラやソウギョに似た大きな魚が泳いでいるのを見かけました。

ジュネーブの街中ではホシムクドリやスズメなどの小鳥やカワラバトが観察されました。

ホシムクドリは、街中の樹木がねぐらとなっており、夕方になると大きな群れをつくり、ねぐら入りをします。本当にものすごい数で、日本だったら苦情が来そうな勢いでした。

リーダーズフォーラム3日目の終了後には、近くの植物園へ立ち寄りました。植物園は公園のようになっていて、アオガラ、ゴジュウカラ、ヒガラなどのカラ類やキバシリ、モリバト、ホシムクドリが見られました。昆虫類も見られ、ヨーロッパアカタテハなどの蝶やハナバチ類、池には日本のものより1回りほど大きなマツモムシが見られました。また、キタリスも遠くから観察することができました。

スイス グラン

IUCN本部訪問の後には、グランの街を歩きました。
農耕地がたくさんありましたが、草地を歩いても昆虫類が見られず、日本との差に驚きました。生えている雑草もシバやヘラオオバコ、ツメクサ、タンポポのような植物が大半で、植物の種数もあまり多くない印象を受けました。季節的な影響もあるとは思いますが、日本の生物量の多さと多様性の豊かさを感じることができました。

街の壁には日光浴するカナヘビがたくさんいました。Googleレンズに聞いてみたところムラリスカベカナヘビだそうです。

フランス シャモニー

最終日は、ジュネーブ空港からバスでフランスのシャモニーへ向かいました。シャモニーはモンブランの麓の街で、標高が高く寒かったです。

途中バスからは、シャモアらしき動物を見かけました。見た目もいる場所も日本のカモシカに似ていました。

シャモニーの町ではカササギ(ユーラシアカササギ)、カワラバト、スズメ類、カタツムリを観察出来ました。

シャモニーの町からケーブルカーで山へ登り、森林限界を見渡せる標高にも行きました。高山帯では写真のような花や果実が見られ、イワヒバリやキバシガラス、クロジョウビタキなどの野鳥、紅葉の美しい景観を見ることもできました。

周囲を散策できたので、回ってみるとマーモットのものと思しき糞も見つけました。内容物は植物質のものばかりで、全く匂いがしませんでした。毎回フィールドサインの写真を撮る際に忘れるのですが、きちんと比較対象を置く癖をつけたいです。

最後に

この一週間を振り返って、日本ではなかなか見られない生きものが間近に観察できたり、日本では見られない生きものたちに出会えたことに、とても感動しました。全体を通して、植物食の動物が多い印象を受け、昆虫類に恵まれた日本とはまた違った生態系を見ることが出来ました。

また、外の世界を知ることで、内の世界、日本の生物多様性の豊かさに気づくことが出来ました。この豊かな日本の自然を将来に繋げていくために今後も尽力していきたいと思います。

リーダーズフォーラムでは、East Asian-Australasian Flyway Partnership(EAAFP)の方にebirdというツールを教えて頂きました。

場所ごとの観察される野鳥リストや近くの鳥見スポットを検索できたり、観察した野鳥の記録をつけて、ライフリストを作れたりと鳥好きには嬉しい機能がたくさんありました。今後より一層の自然観察を楽しめそうです。情報は保全や研究活動に活かされるそうなので、野鳥好きの方はぜひ活用してみてください。

IUCN-J事務局
稲場一華