国際自然保護連合日本委員会ウェブサイトで、昆明モントリオール生物多様性世界枠組みの23目標を解説するページを作成しました。生物多様性条約の公式解説ページ(英語)を訳したうえで、より多くの方が読みやすいように、目標のポイント、どんな行動が求められるか、活躍する主体、日本の事例などをまとめています。翻訳や解説文書の制作には、IUCN-Jと連携協定を締結している国立環境研究所の生物多様性領域の皆さん、損保ジャパンCSOラーニング制度インターンの溝上紗雪さんに多大なる協力をいただきました。
23の目標を伝えたい
このページを民間団体でつくった経緯や背景はいくつかあります。
一つ目は、23の目標を忘れないで欲しいということ。IUCN-Jでは、助成金や皆様のご寄付を原資に4年間条約交渉を現場で見て、日本の関係者に報告し、市民団体と議論して、その声を政府に届ける仕事をしてきました。私たちの声を世界から見れば小さいかもしれませんが、23の目標一つ一つに、4年間以上、国や組織や地域の自然の守り手の声を背負って交渉を重ねてきた人々の思いが込められています。30by30や自然共生サイトなどが注目され、進展を嬉しく思うと同時に、それは一つの目標(行動目標3)に過ぎず、他の目標が相対的に注目されないことを残念に感じます。23の目標全部が必要なものとして合意されたということを是非ご理解ください。
二つ目に、分かりやすく伝えるということは、いろいろな情報をそぎ落とす必要があること。正確さと分かりやすさのバランスをとって発信することは、交渉に関わった民間団体にしかできないと感じたからです。日本政府の交渉官も、様々な省庁との調整の元、一言一句に思いをもって交渉に関わりました。それゆえ、言葉を減らして説明することはとても難しい仕事です。いずれ国からも発信されたかもしれませんが、まずは、一早く多くの方に届けることが大事と考えました。
三つ目に、23の目標を紐づけて、もっとつなげて、広く伝え、行動につなげたいと思ったからです。23の行動目標は、何が(What)必要かの指針を示していますが、どう(How)行動するかは教えてくれません。国や地域ごとに自然と向き合いながら作り出していくものです。2030年までにネイチャーポジティブを日本から実現していくことをめざす国際自然保護連合日本委員会は、今回のページを元に、引き続き、様々な行動やニュースと23の行動目標を紐づけて、皆様に世界の動きをお届けしたいと考えています。
各リンクは、リンクフリーです。最新の国内外の動向に合わせ、随時、情報を充実させていきます。引き続き、日本委員会の活動にご支援をよろしくお願いします
国際自然保護連合日本委員会
事務局長 道家哲平