「ネイチャーポジティブな未来に向けた熊本の決意」

日本の熊本で開催された第2回グローバル・ネイチャー・ポジティブ・サミットに参加した我々は、昆明・モントリオール生物多様性枠組み(KMGBF)の使命に沿い、2020年を基準として2030年までに自然の損失を食い止め、その傾向を逆転させ、2050年までに完全な回復を達成するための行動を加速させる上で、間もなく開催される生物多様性条約第17回締約国会議(CBD COP17)が極めて緊急の課題であることを認識します。世界的な目標達成まで残りわずか4年となった今、国際的な合意から着実な行動へと移行するためには、政府、市民社会、先住民族および地域コミュニティ、企業、金融機関、市民、消費者を含む、社会を構成するすべての主体をつなぐ、かつてない「社会全体を巻き込んだアプローチ」が求められています。

熊本は、この取り組みにふさわしい舞台です。この地域は、自然が経済活動、地域住民の生活、食料安全保障、文化遺産、災害リスクの軽減、コミュニティのレジリエンスをいかに支えているかを深く理解しています。また、政府、企業、金融、社会セクターが連携して行動することで、地球と現在および将来の世代の人々にとって、ネイチャーポジティブな成果をもたらすことができることを示しています。例えば、地下水や河川流域の管理を通じて、この地域は、都市部、企業、農業コミュニティが連携し、生物多様性の重要な要素である共有の自然資源や生態学的プロセスを保全できることを実証しています。

ネイチャーポジティブな社会への移行がもたらす社会的・経済的メリットは明らかです。ネイチャーポジティブ経済への移行は、コストとしてではなく、投資として、かつ、持続可能な成長、レジリエンス、イノベーション、そして長期的な価値創造の機会として認識されるべきです。それは、人間の発展を包括的に促進し、地球システムの健全性と活力を維持するものです。

この目標を支援するため、「熊本・グローバル・ネイチャー・ポジティブ・サミット」では、ネイチャー・ポジティブな未来を実現するためのいくつかの重要な要素を強調しました:

  • KMGBFのビジョン、すなわち「2050年までに、生物多様性が尊重され、保全・回復され、賢明に利用されることで、生態系サービスが維持され、健全な地球が保たれ、すべての人々にとって不可欠な恩恵がもたらされる」という理念、ならびに生物多様性の損失を食い止め、その減少傾向を逆転させるという2030年ミッション、およびそのゴールとターゲットを受け止めること[1]
  • 2026年2月に発表された「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」の『ビジネスと生物多様性に評価報告書』[2]の重要性を認識すること
  • 日本政府の「生物多様性国家戦略2023-2030:ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ」[3]ならびに「ネイチャーポジティブ経済移行戦略~自然資本に立脚した企業価値の創造~」[4]を歓迎すること
  • 生態系への悪影響を、まず回避・最小化し、次に劣化した陸域および海域の回復と再生に寄与し、最終的には回避できない影響を代償するとともに、高水準の十全性確保措置を講じるという、ミティゲーションヒエラルキーを適用することをすべての企業に対し求めること
  • 政府、規制当局、企業、金融機関が、自然や自然の状態に対する企業のインパクトや依存を測定するために、標準化され、科学的根拠に基づくと同時に、実用的かつ意思決定に役立つ指標や手法をめぐって連携を図り、企業の行動を加速させること
  • KMGBF目標15で求められているように、自然関連課題に関する評価、目標設定、移行計画、および企業報告について、世界的に一貫した標準に基づくアプローチに向けて、市場全体の整合を図ること
  • 自然資本を不可欠な資産であること、地球規模の気候・水・食料の安全保障、ならびに人間の健康と福祉を共に確保するためには、自然に根ざした解決策、循環型経済および脱炭素化の取り組みを統合しなければならないことを認識すること
  • 自然と人間活動の調和のもとで自然を守るという日本の里山モデルによって体現されているように、気候変動と自然保全における取り組みが、地域社会の生計を守り向上させ、社会的公平性を促進し、周縁化されたコミュニティのエンパワーメントにつながる「公正な移行」を受け止めること

これらの重要な提言を認識し、私たちは、生物多様性条約(CBD)COP17およびそれ以降のプロセスへの貢献、実施における成功事例や教訓の共有、そして共同行動の強化を通じて、本サミットの成果が「昆明モントリオール生物多様性枠組み(KMGBF)」のゴールとターゲットに向けた具体的な進展につながるよう取り組みます。「人々にポジティブな未来を実現する唯一の道は、ネイチャーポジティブな未来を築くこと」です。

英語原文はこちら

熊本宣言賛同団体 SIGNATORIES TO THE KUMAMOTO DECLARATION

熊本宣言は、グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026において、85団体の賛同を得て、うち、41が企業や金融機関による宣言となっています。非営利組織からの賛同44の中には、政府機関、自治体、国際機関、国際企業ネットワーク、枠組み構築機関(TNFD)、NGO、アカデミア(大学、研究機関)、ユース団体等幅広い組織が賛同しています。[5]

正式賛同リストはこちら(英語)


[1] KMGBF 2050 Vision and 2030 Mission

[2] Methodological assessment of the impact and dependence of business on biodiversity and nature’s contributions to people (business and biodiversity assessment)

[3] 「生物多様性国家戦略2023-2030:ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ」

[4] 「ネイチャーポジティブ経済移行戦略 ~自然資本に立脚した企業価値の創造~」

[5]本宣言は自発的な意向表明であり、賛同企業・組織の目標や達成責任を含む、いかなる法的責任や正式な約束を意味するものではありません。