23の目標
目標
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ジェンダー

Ensure Gender Equality and a Gender-Responsive Approach for Biodiversity Action

生物多様性保全活動のためのジェンダー平等とジェンダー対応アプローチの確保

女性及び女児の土地及び自然資源に対する平等な権利及びアクセスと、あらゆるレベルでの生物多様性に関連する行動、参画、政策及び意思決定における女性及び女児による完全で、衡平で、有意義で、十分な情報提供の下での参画とリーダーシップを認めることなどを通じて、すべての女性及び女児が条約の3つの目的に貢献するための平等な機会と能力をもてるようなジェンダーに対応したアプローチを通じてこの枠組の実施におけるジェンダー平等を確保する。

解説
条約の3つの目的とは、「生物の多様性の保全」、「その構成要素の持続可能な利用」及び「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」を指します。

目標のポイント

POINT 1

女性には、男性と同じように意思決定に参加する機会や、指導的役割を果たす機会が与えられていないことが多いとされています。女性の関与が不十分なために、生物多様性に関して効果的な行動をとる機会が失われているとの分析結果もあります。
女性が男性と同等に、資源や土地、教育や経済的な機会を得られれば、より意思決定に参加することができるようになります。
生物多様性に関連する意思決定で、ジェンダーの側面を考慮することは、生物多様性にもジェンダー平等にも良い効果があります。

POINT 2

このターゲットでは、

  • ジェンダーに対応したアプローチ

をとることで、

  • KMGBFの実施におけるジェンダー平等を確保する

ことを目指しています。

解説
ジェンダー対応とは、政策や制度などで、各自の性自認に基づいた経験やニーズを考慮して対応を行うことです。ジェンダーに関する差別や不利益に直面する人がいることを認識し、性別によって個人の潜在能力を十分に発揮できないような状況をなくす必要があります。

POINT 3

女性は、生物多様性の主な管理者であるにも関わらず、確実な土地所有権を持たないことが多いとされています。
土地所有権を持てるようになれば、生物多様性に配慮した持続可能な土地利用に取り組む可能性が高まります。
女性の土地所有権に関する状況を改善するには、土地の登記や所有権に関するルールや慣習を含め、法律や政策、文化的規範を変える必要もあるかもしれません。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 政策意思決定の場、コミュニティの会議、その他の意思決定の場において、女性の代表を確保する
  • 各国・各地域でジェンダーに関する行動計画を策定し実施する
  • 生物多様性関連の活動において女性が果たしている役割を明らかにする
  • ジェンダー平等に関し、国内外の現状を知る

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、指導的な立場や意思決定の場で女性の代表制が確保されるよう、国や自治体・事業者などが取り組むことが特に期待されています。また、当ターゲットに関する国内での状況を明らかにするという点においては、教育研究機関による研究の推進も期待されます。

  • 自治体
  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民
  • 農林漁業団体

国内での参考事例

日本の生物多様性国家戦略2023‐2030では、意思決定プロセスにおける女性参画の推進(具体的施策5-3-5)を掲げています。数値目標として、生物多様性保全に関する審議会の女性委員の比率を22%(2021年度)から40%(2025年度)にすることや、生物多様性保全に係る環境省の管理職ポストのうち、女性が占める割合を12.3%(2023年1月)から30%(2030年度)が掲げられています。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。