23の目標
目標
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資源動員

Mobilize $200 Billion per Year for Biodiversity From all Sources, Including $30 Billion Through International Finance

国際的資金による300億ドルを含め、生物多様性のためにあらゆる資金源から年間2,000億ドルを動員する。

生物多様性国家戦略及び行動計画を実施するために、条約第20条に則り、効果的、適時かつ容易にアクセスできる方法で、国内、国際、公共及び民間の資源を含む、あらゆる資金源からの資金の水準を実質的かつ段階的に引き上げ、2030年までに以下を含む措置を通じて少なくとも年間2,000億米ドルを動員する。

(a)政府開発援助を含む、先進国からの、及び先進国締約国の義務を自発的に引き受ける国からの、途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国並びに経済移行国へのすべての生物多様性関連の国際的な資金を、2025年までに少なくとも年間 200億米ドル、2030年までに少なくとも年間300億米ドルまで増加させること

(b) 各国のニーズ、優先事項及び状況にしたがい、自国の生物多様性資金計画又は類似の文書の作成と実施によって促進される、国内資源の動員を大幅に増加させること

(c) 民間資金を活用すること、ブレンディッド・ファイナンスを推進すること、新規かつ追加的な資源の調達のための戦略を実施すること、そして民間セクターに対して、インパクトファンド及びその他手段などを通じて、生物多様性に投資するよう奨励すること

(d) 生態系サービスへの支払い、グリーンボンド、生物多様性オフセット及びクレジット、利益配分メカニズムなどの環境及び社会的セーフガードをもつ革新的なスキー ムを刺激すること

(e) 生物多様性及び気候危機を対象とする金融の共通便益(コベネフィット)及び相乗効果を最適化すること

(f) 先住民及び地域社会等による協力した行動、母なる地球を中心とした行動※1、及び生物多様性の保全を目的とした地域社会主体の自然資源管理や市民社会の協力と連帯といった市場に基づかないアプローチの役割を強化すること

(g) 資源の提供と利用における有効性、効率性及び透明性を高めること

※1 母なる地球を中心とした行動:人と自然との間の調和的かつ補完的な関係性に向けた行動の実施を可能にする環境中心かつ権利に基づくアプローチであり、すべての生き物とその群集の存続を推進するとともに母なる地球の環境機能の商品化を防ぐものである。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、2030年までに生物多様性国家戦略を実施するのに必要な財源を、世界規模で少なくとも年間2,000億米ドルに増やすことを目標としています。
資金源には、国内外の公共予算だけではなく、民間も含むあらゆる資金が想定されています。また、KMGBFは2030年までの枠組であるため、その実施資金は効果的な時期と方法で使いやすく利用出来る必要があります。

POINT 2

先進国などから途上国に提供される資金に関しては、2025年までに年間200億米ドル、2030年までに年間300億米ドルまで増加させることとされています。ODA(政府開発援助)は、この目標を達成する一つの手段とされています。

POINT 3

以下のような手段や制度を通じて資金増を図ることも可能です。一方で、こういった制度は、環境や社会的に安全に働く制度であることを確保した上で運用する必要があります。

  • ブレンディッド・ファイナンス(公的資金や慈善資金と民間の投融資を組み合わせたファイナンス手法)
  • インパクトファンド(金銭的リターンに加えて、測定可能な正の社会面・環境面の影響を生じさせるという意図を持って行われる投資)
  • 生態系サービス支払い(生態系サービスの受益者が、その維持管理コストを払う仕組み 例:水源税)
  • グリーンボンド(企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券)
  • 生物多様性オフセットやクレジット
  • 利益配分メカニズム

POINT 4

気候変動を対象とした金融との共通便益(コベネフィット)や相乗効果の確保、効率的・効果的・透明性のある資金活用も大切です。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 生物多様性保全のために資金が流れる仕組みを作る
  • 目標中で特定されている手段や制度を開発し活用する

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、政府間援助や国内の公的資金に関する国の役割や、革新的な資金スキームなどに関する民間の活躍などが特に期待されています。

  • 事業者
  • 市民

国内での参考事例

IUCN-Jでは、参考事例を募集しています。

日本自然保護協会では、三菱地所・群馬県みなかみ町三者の協働事業「みなかみネイチャーポジティブプロジェクト」という10年事業を発足し、その活動財源として、企業版ふるさと納税制度を活用しています。このように多様な資金源の工夫が望まれます。
https://www.nacsj.or.jp/media/2023/03/34539/

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。