SBI-6最終日は、議題数自体は多くありませんでしたが、交渉の難航により、極めて長い一日となりました。午前・午後の本会議(プレナリー)を開催したにもかかわらず議事は終了せず、資金メカニズム(GEF)や運営・事務局改善などをめぐって複数のインフォーマルグループが並行して展開されました。最終プレナリーは夜9時に再開され、すべてのL文書を処理し終えたのは夜11時過ぎでした。

今回のSBI-6の登録参加者は約560名でした。パナマで開催されたSBSTTA27と比較するとおよそ半数規模ですが、それでも各国代表、国連機関、国際機関、IPLC、NGO、ビジネス、ユースまで幅広い参加がありました。締約国だけでも約350名規模、国連・専門機関が約60名、政府間機関約20名、IPLC約35名、NGO約70名、ビジネス・産業約10名、学術約9名、ユース約15名と、多層的な構成となっていました。

規模はSBSTTAより小さいものの、SBIは実施・資金・制度設計を扱うため、政治的な利害調整の重みはむしろ大きいといえます。

最終プレナリーでは、議長が、CRP文書を確認し、一つ一つのL文書の採択を進めました。括弧が残ったままCOP17に送られる部分も多数ありますが、GBF実施の制度的枠組みを前進させる一定の成果を確保した形でSBI-6は閉幕しました。

[ ]も多く残っていますが、SBSTTA27@パナマよりは進行は改善されていたと思います。


所感

GBF採択以降、私が感じ続けているのは、意欲的な目標と実施体制の間に横たわる大きなギャップです。GBFは明らかに従来の延長線上では到達できない水準の目標を掲げています。しかし、それを支えるべき生物多様性条約事務局の体制強化や会議運営の抜本的見直しについては、締約国間の合意がなかなか得られません。今回も同様の印象を受けました。ただし、完全に停滞しているわけではなく、事前意見提出の活用や文書整理の効率化など、改善の兆しも見え始めています。それでも、求められている変化の規模に対して、「国」を中心とする国際社会の対応速度は十分とは言えません。

また、今回の会議運営は効率性を強く意識したものでした。サイドイベントは行われず、NGO等の意見は事前提出文書として正式に扱われ、手続き上も丁寧に確認されました。その結果、ファーストリードは簡素化され、交渉は一定程度効率化されました。しかし、オブザーバーの数は限られ、本会議で発言できる機会も制約されました。意見は聞かれたが、声は聞こえないという奇妙で、成功といえるのかモヤモヤした気分が残ります。多様な主体が集まり議論を深める場というよりは、形式と効率を優先した交渉の場という印象が強く残りました。効率性と包摂性のバランスは、今後の大きな課題だと感じます。

さらに、最重要議題の一つである資源動員についても、本質的な突破口が示されたとは言い難い状況です。今回検討された三つの手法はいずれも公的資金や制度的枠組みに依拠するものであり、研究が整理されても、構造的な資金ギャップを埋めるブレークスルーには直結しないという印象を持ちました。民間資本の本格的な転換や、金融システム全体の変革に踏み込む議論は、依然として十分とは言えません。

そのように考えると、民間企業や自治体の意欲的な取り組みに焦点を当てるグローバルネイチャーポジティブサミット2026の意義は、むしろ一層明確になります。国際交渉が制度設計を整える場であるとすれば、実際の変化のエネルギーは現場や市場から生まれる可能性があります。民間や自治体からのモメンタムが形成され、それがCOP17に対して前向きな声となることは、極めて重要と感じました。今回のSBI-6を通じて、交渉の限界を感じると同時に、非国家主体が果たす役割の重みを改めて実感しました。

国際自然保護連合日本委員会 道家哲平