■ 議題3(a):資源動員(Resource Mobilization)
(CBD/SBI/6/L.8)
資源動員議題では、決定16/34の実施状況を踏まえ、特に「債務と生物多様性」「セーフガード」「気候資金との相乗効果」に関する3つの研究成果をどのように扱うかが中心的に議論されました。争点は、これらの研究を締約国にどの程度強く活用させるか([Invites]/[Encourages])、また債務関連手法の推進をどの水準で明記するかという点でした。
最終文書では、研究成果を各国の資金動員政策やNBSAP、国家生物多様性財政計画に活用することが奨励されています。締約国には、債務関連金融手法の可能性評価、生物多様性を国家債務戦略へ統合する検討、気候資金との相乗効果の最大化、任意セーフガード指針の適用などが招請されました。また、IPLCや女性、若者の参加に関する条項は[ ]で残されており、包摂性の明確化は今後の課題です。
事務局には、研究のピアレビュー期限延長と最終化、COP17への報告、さらなる追加要素の整理が要請されています。さらに、気候資金との重複回避や各条約の権限尊重に関する文言も[ ]付きで残され、条約間の役割分担に関する政策的調整が未解決のままです。
総じて、本成果文書は債務持続可能性と生物多様性実施の関係を正式議題として位置づけ、気候資金との統合的アプローチを前進させましたが、拘束的措置や具体的資金目標には踏み込まず、セーフガード適用や条約間整合性の扱いはCOP17に向けた重要な積み残し課題となっています。
■ 議題3(b):資金メカニズム(GEF)
(CBD/SBI/6/CRP.4/Rev.1)
本議題では、GEF第9次増資期間(2026–2030年)に向けた資金需要評価と、資金メカニズム(=GEF)の有効性レビューが中心的に議論されました。
*最後のプレナリーで、追加で数多くのパラグラムに[ ]がつけられたので、以下、検討が必要です。
文書では、提出数の限定性を認めつつ、開発途上国のニーズが今後より的確に反映されるよう技術的・制度的支援強化の必要性に言及しています。また、先進国や任意拠出国によるGBFFおよびGEF第9次増資への貢献に謝意を表明し、GBFFがGEF信託基金を補完する役割を担うことが確認されました。
締約国には、将来の第10次増資(2030–2034年)に向けた包括的資金需要評価への協力、国内プラットフォーム設置の検討、国家フォーカルポイント間の連携強化などが示されています。
事務局には、第10次増資期間の資金需要に関する完全評価の準備、金融機関との協働強化、アクセス手続の簡素化に向けた検討、さらに第7次四年次レビュー(quadrennial review)の実施支援が要請されています。
特に四年次レビューでは、資金の適時性、実施機関のパフォーマンス、女性やIPLCへの資金アクセス、ジェンダー・人権への配慮、資金の持続性評価などが評価基準として明確化されました。一方で、[specific resources be reserved for]や[direct access]、[human rights-based approach]、評価手続の詳細など、多くの条項が[ ]で残されており、資金配分の優先順位、直接アクセスの扱い、人権基準の明確化などはCOP17での政治的調整課題となっています。
総じて、本成果文書は資金需要の透明化と制度的評価枠組みの強化を進めた一方で、資金規模そのものの増額や拘束的措置には踏み込まず、アクセス改善やガバナンス強化の具体化は今後の交渉に委ねられた形となりました。
■ 議題4:PMRR(計画・モニタリング・報告・レビュー)
(CBD/SBI/6/L.3)
PMRRでは、改定NBSAP、国別目標、第7次国別報告の提出状況を踏まえ、これらを基礎とするグローバル進捗レビューへの展開が確認されました。
争点は、提出期限(2026年2月28日)の厳守を強く求める先進国と、技術的・財政的制約やGEF資金の遅延を明記すべきとする途上国の立場の調整でした。
最終文書では、未提出国に対し「urges」と強い表現で提出を求めつつ、技術的・財政的制約への言及も併記する形で妥協が図られました。
締約国にはオンライン報告ツールの活用や任意項目の充実が奨励され、非国家主体のコミットメント提出も引き続き歓迎されています。グローバルレポートには間に合わないまでも、グローバルレビューには採用されことが議論されました。
事務局には、GEF資金の承認日・支出日等の詳細情報を整理しSBI7に報告することが要請され、資金遅延問題の透明化が進みました。
■ 議題5:ジェンダー行動計画(GAP)
(CBD/SBI/6/L.2)
ジェンダー行動計画の中間レビューでは、進展とともに資金不足や性別分解データの不足などの課題が確認されました。
L文書では、GAPをGBF実施を支える主要手段と明確に位置づけ、特にターゲット23との連動を強調しています。
締約国には、生物多様性国家戦略への統合、女性や先住民地域共同体の女性の意思決定参加の確保、性別毎データの強化、女性主導イニシアティブへの専用資金の確保などを奨励する提案をまとめました。
また、PMRR(戦略、モニタリング、報告、レビュー)全体にジェンダーアクションプランで求めていることを組み込むことも明示されています。
国際金融機関、特にGEFには、女性主導の活動へのアクセス簡素化を求める文章が合意されました。
事務局には能力構築支援や最終レビューの実施を求める内容をCOP17の提言としてまとめました。文言は比較的穏当で義務化には至らず、資金の具体的確保や数値目標の導入は積み残しとなりました。
■ 議題6:能力養成・技術科学協力
(CBD/SBI/6/L.5)
能力養成では、長期戦略枠組みおよび技術科学協力メカニズムの有効性を評価し、2030年以降の方向性を検討するCOP17決定案が合意されました。
争点は、能力ギャップ分析に必要なデータ不足と、支援センターの財源制約でした。
締約国には、能力ニーズに関する具体的情報の提供と、支援センターとの連携が奨励されています。
事務局には、評価枠組みの策定支援、独立評価の実施、支援センターの資金アクセス確保の支援が要請されました。非合意事項[ ]が残る条項は、評価の正式採択に関する最終合意が留保されていることを示しています。予見可能で持続的な財源確保は引き続き大きな課題です。
■ 議題7:国際協力
(CBD/SBI/6/L.6)
国際協力では、他の多国間環境協定との相乗効果強化と重複回避が中心課題となりました。
争点は、国連海洋法条約公海生物多様性協定(BBNJ協定)との関係、人権アプローチの位置づけ、貿易措置との整合性などです。
これらに関する文章では、[Welcomes/Notes](BBNJ協定の成立を、、、歓迎する/留意する)という二つの案になっており、政治的立場の違いが残っていることを示しています。
締約国には、国内のフォーカルポイント間の連携強化が奨励する提言案などがまとまりました。
事務局には、リオ条約間の報告やレビュー枠組みの重複分析や簡素化オプションの提示、ベルン・プロセスへの関与継続などが要請されています。
UNOHCRによる人権研究の扱いやBBNJとの協力強化の文言は未確定であり、COP17では、COP16でもあったなかなか解決策の見いだせない交渉が行われそうです。
議題8:ABS(Specialized International Instruments)
(CBD/SBI/6/L.7)
本議題は、名古屋議定書第4条4項に基づき、専門的国際ABS制度(SII)をどのように認定・整理するかをめぐるものです。争点は、SIIを正式に「認定」する仕組みを設けるか、それとも制度間の協調にとどめるかという制度設計の方向性でした。途上国の一部は法的明確性や公平性確保の観点から正式な認定制度(Option A)を支持する傾向がありましたが、他方で制度の硬直化や重複を懸念する立場もあり、最終文書では3つの選択肢(正式認定型、協調型、ハイブリッド型)が併記されたままとなっています。
締約国やIPLC、関係機関には、各オプションや指標案に関する追加意見提出が招請されました。また、作業を前進させるための「非公式グループ」の設置が決定されましたが、その名称や形式([online]を含む)は[ ]で残され、最終的な形態は未確定です。事務局には、提出意見の統合整理およびグループ会合の支援が要請されています。さらに、将来のMOP議題として「他国際機関との協力」を常設項目化する案も[ ]付きで残されました。
全体として、法的明確性の向上と制度間の相互補完性確保の必要性は共有されたものの、具体的な認定モデルや拘束的基準には合意が至らず、COP17(名古屋議定書MOP)に向けて制度設計の核心部分が積み残された形となりました。
■ 議題10:事務局の機能レビュー(運営改善)
(CBD/SBI/6/L.4)
事務局の外部機能レビューでは、GBF実施を中核とする組織再編と効率化が検討されました。
争点は、組織構造の更新やポスト再分類、予算への影響でした。
最終文書では、短・中期的措置の開始を評価しつつ、具体的構造変更の一部は[ ]付きで留保されています。
事務局には、進捗報告と予算影響の説明、透明性ある情報共有が要請され、COP17での最終判断に委ねられました。制度改革の方向性自体には支持があるものの、追加ポストや財政的含意に関する加盟国間の合意形成は今後の課題として残っています。
■ 議題9:運営改善(会議プロセスの有効性レビュー)
(CBD/SBI/6/CRP.9/Rev.1)
本議題では、条約および議定書の会議運営の効率性・包摂性・透明性をどのように向上させるかが検討されました。争点は、効率化を進める一方で、途上国の実質的参加をどう確保するか、また新たな常設的な「助言組織(advisory body)」を設置するか「締約国が主導するプロセス」とするか否かでした。
文書では、早期ステートメント提出の試行や決定追跡ツール(decision-tracking tool)の進展が評価され、締約国には会議効率化への積極的参加と議題・決定文の簡素化への協力が奨励されています。
事務局には、オンライン事前説明会の開催、議事手続のガイドライン作成、決定追跡ツールの本格運用、文書量の削減、技術活用の検討などが要請されました。
他方で、途上国参加者支援の数、助言機関の是非、人権ベースアプローチなど、多くの条項が[ ]付きで残されており、効率化と包摂性のバランス、追加財源の確保の必要性については合意に至っていません。
会議効率化の具体的措置を一定程度制度化した一方で、包摂性確保に必要な財政措置や常設的ガバナンス改革についてはCOP17での判断に委ねられた形となっています。






















