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世界のレッドリスト動植物

IUCNレッドリスト2002に掲載されている絶滅のおそれのある動植物の一例をご紹介します。

アカアシドゥクモンキー (Red-shanked Douc Langur:Pygathrix nemaeus)

アカアシドゥクモンキー

Photo (c) Bill Konstant

アカアシドゥクモンキーは、ベトナムの中南部およびラオスの一部に生息するりりしい容貌のアジアのコロブス類で、絶滅危惧IB類に指定されています。その限られた生息地全域で、生息地の破壊や狩猟(食用として、また体の一部を伝統的漢方薬へ使用するため)が要因で生存が脅かされています。公園や自然保護区ではまだ多くの個体がみられますが、この種や他の絶滅危惧種を保護するために制定された野生生物法は、野生動物の密売や不法な売買に際して十分に機能していないのが現状です。

マンドリネット (Mandrinette:Hibiscus fragilis)

マンドリネット

Photo (c) Wendy Strahm

マンドリネットは、インド洋のモーリシャス島に特有の数ある絶滅危惧IA類のうちの1種です。2地域に成熟した46の個体が生育するのみで、それらは導入された外来種との競争のため増殖していません。この種は挿木から簡単に個体を増やすことは出来ますが、庭木のブッソウゲと容易に交雑することから、植物園で長期的に管理することは困難です。この種を絶滅させないためには、野生の個体群の管理、外来種の完全除去、および人工繁殖個体の再導入が必要です。

スモールトゥース・ソーフィッシュ(Smalltooth Sawfish:Pristis pectinata)

スモールトゥース・ソーフィッシュは、絶滅危惧IB類のノコギリエイであり、かつては北大西洋(地中海、アメリカ大西洋、メキシコ湾)と大西洋南西沖の広い領域にわたって分布していましたが、漁業と生息地の改変によりその広大な分布域から全くあるいはほとんど根絶されてしまいました。他の地域における現状はわかっていませんが、おそらく同じように減少していると思われます。この写真の個体は、バハマ諸島のアトランティス島パラダイス島に生息しています。

バスタード・クィヴァー・ツリー(Bastard Quiver Tree:Aloe pillansii)

バスタード・クィヴァー・ツリーは、南アフリカの北ケープ州にあるリヒターズフェルド山地およびナミビア南部に生育する絶滅危惧IA類の木生サボテンです。個体数は成熟個体が200個体を切るほどに減少しました。どの主要な生育地においても、ヤギとロバの放牧の影響で新しい個体は確認されておらず、また、高齢の個体は枯れています。この種はコレクターの標的とされており、過去の採集圧によってCITESの付属書Iに登録されました。IUCN/SSCの南アフリカの植物専門家グループのメンバーはこの種の新たな大規模調査および再導入プログラムに焦点をあてています。

スパイクサラマンダー(Luschan's Salamander:Salamandra luschani)

スパイクサラマンダー

Photo of the red phase form (c) Michael Franzen

スパイクサラマンダーは、トルコ南西部の一部と、エーゲ海の南東の島のカルパトス島、サリア島、カーソス島、およびカスティリョリゾ島に生息する絶滅危惧II種のサンショウウオです。この種が生息地として好む地中海の硬葉樹林、マツ林、低木林が急速な経済開発の影響で消失しているためその分布は制限されています。

ミスジハコガメ (Asian Three-striped Box Turtle:Cuora trifasciata)

ミスジハコガメ

Photo of a captive animal (c) Kurt A. Buhlmann

ミスジハコガメは、アジアで最も絶滅が危惧される絶滅危惧IA類の淡水生のカメです。中国南部、ベトナム北部、またおそらくラオス、ミャンマーの固有種で、最も美しいハコガメと言われています。本種は、中国伝統の漢方において、癌を治す特性を持つと考えられ、またペット取引によってその個体群は著しく減少しました。多くのアジアの食肉取引用のカメ類は、ひとたび商業上収穫不可能な数に減少すれば収穫は見合わせられますが、本種は、その高い価値のために、見つけにくくなろうとも追跡され続けるでしょう。本種を絶滅から救う唯一の解決方法は安全なコロニーの確立です

アメリカヌマジカ (South American Marsh Deer:Blastocerus dichotomus)

アメリカヌマジカは、南アメリカ中南部にひろがる季節的に水浸しになる湿地や、冠水草地、森林に生息する、新熱帯区では最も大きいシカです。アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイに分布し、以前はペルーでもみられましたが絶滅したと考えられています。この種は、分布域の縮小、生息地の消失、高い狩猟圧によって個体数が減少したことから、絶滅危惧II類に指定されています。

ワタリアホウドリ (Wandering Albatross:Diomedea exulans)

ワタリアホウドリ

Photo (c) Tony Palliser

ワタリアホウドリは、2000年のレッドリストの中で地球的に絶滅の危機にさらされていると指定された16種(1996年にはわずか3種)のアホウドリ類のうちの1種です。全体として長期的な減少をたどっていますが、かなりの数が延縄漁業による餌の付いた釣り針にひっかかって溺れています。バードライフインターナショナルは、延縄漁業が適切な代替手段を採用し、海鳥の偶発的な混獲を減少させるよう「アホウドリを保護しよう:はえ縄に世界の海鳥を近づかせない」と呼びかけた国際的なキャンペーンを始めました。

コルシカカタツムリ(Corsican Snail:Helix ceratina)

コルシカカタツムリ

Photo (c) G. Falkner

コルシカカタツムリは、絶滅危惧IA類に指定されています。1902年に確認されたのが最後でしたが、1995年に再発見されました。本種の生息地はコルシカ島南西海岸にあるアヤッチオの郊外に7ヘクタールが残るのみとなっています。本種はフランスの法律で保護され、生息地は「ビオトープ保護地域」に指定されています。これはカタツムリのためにフランス政府がとった初めての対策です。それにもかかわらず、アヤッチオ付近の種の生存は、開発(空港、海岸などへのアクセス)のために、危ぶまれています。保護繁殖は成功しており、新しい個体群をコルシカのどこか他のところに住まわせる計画もあります。新石器時代には、本種は島に広く分布していました。

アビシニアジャッカル (Ethiopian Wolf:Canis simensis)

アビシニアジャッカル

Photo of a female Ethiopian Wolf greeting her cubs (c) Dada Gottelii

アビシニアジャッカルは、絶滅危惧IA類に指定されており、北東アフリカのエチオピア高地のみに生息しています。おそらく400頭未満の成獣が生息するのみと考えられており、世界のイヌ科の動物の中で最も絶滅に瀕していると言えます。本種は数が少ないばかりでなく、農業活動による生息地破壊のために過去よりもその分布域がせばめられています。そのためほんのわずかな数が山脈地帯に残存するのみとなり、絶滅の危機にあります。残存する個体群の保護および管理のための詳しい戦略を含む行動計画が公表されました。この戦略は、保護地域ネットワークを拡張するとともに、それらのよりよい管理を確保し、さらに個体群が著しく減っているエリアへの再導入を考慮した保護繁殖プログラムの開発を含んでいます。

ゴールデン・パゴダ(Golden Pagoda:Mimetes chrysanthus)

ゴールデン・パゴタは、ヤマモガシ科に属する絶滅危惧II類の植物で、1987年に発見されたばかりです。それ以来、多くの小規模な個体群が、南アフリカのリトル・カルーや西ケープ州に面する山脈に沿って見つかりました。主要な個体群は自然保護区内にありますが、頻繁に起こる自然火災および外来種の侵入によって、つねに絶滅の脅威にさらされています。この種は現在栽培されており、また園芸取引において急速にポピュラーになっています。外来種の除去と頻繁におこる自然火災の防止をはかり、野生の個体群を注意深く管理していくことが要求されます。

サイガ (Saiga Antelope:Saiga tatarica)

サイガは、通常中央アジアの乾燥したステップ地帯の草地や半乾燥砂漠地帯に生息する遊動性で群をなす絶滅危惧IA類の動物です。本種は、食肉として密猟されるほか、中国伝統漢方薬に使用するため角が密輸されており、過去10年の間に個体数は大幅に減少しました。1993年に100万頭以上であった個体数は、2000年までに、20万頭未満にまで減っています。また、2001-2002年度の調査から、野生の個体数は5万頭に満たないことがわかりました。

ラボ・デ・ラポサ(Rabo-De-Raposa:Micranthocereus auriazureus)

ラボ・デ・ラポサ

Photo (c) Marlon Machado

ラボ・デ・ラポサは、絶滅危惧II類に指定されているブラジル原産のサボテンです。本種は5,000 km2に満たない限定されたエリアに生育しています。その分布域の一部がダム建設によって冠水するため、生存が危惧されています。

ビツナギター(Biznaguita:Mammillaria sanchez-mejoradae)

ビツナギターは、絶滅危惧IA類に指定されているメキシコの一地域に固有のサボテンです。15年以上前に発見されて以来、個体数は75%減小しました。現在野生の個体数は、500未満と推測されています。法的に保護されているにもかかわらず、この個体群は違法採取によりつねに脅かされています。

スレンダー・シーホース(Slender Seahorse:Hippocampus reidi)

スレンダー・シーホース

Photo (c) Shedd Aquarium(photo by Edward G. Lines, Jr.)

スレンダー・シーホースは、カリブの大西洋西部、中央および南アメリカに分布する絶滅危惧II類の魚です。本種は、乾燥されて観光客への土産物として売られたり、生きたまま水族館のペット取引に出されたりして、持続可能なレベルを超えて採取されているため深刻な脅威にさらされています。伝統薬に使用するためのタツノオトシゴの国際取引もまた主要な脅威です。地域の漁師からの報告によると、野生の個体数は減少しています。

モリコキンメフクロウ (Forest Owlet:Heteroglaux blewitti)

モリコキンメフクロウ

Photo (c) Farah Ishtiaq

モリコキンメフクロウは、インド中央部に固有の絶滅危惧IA類の鳥類です。19世紀には、4つの広く分離した地域に分布していましたが、その後100年以上絶滅したものと思われてきました。1997年に、再発見され、現在は25羽しか生息がわかっていません。個体群は、生息地としている落葉樹林の消失のために脅かされています。

ナガレアマガエル (Torrent Tree Frog:Litoria nannotis)

ナガレアマガエル

Photo (c) Steve Richards

ナガレアマガエルは、絶滅危惧IB種に指定されているオーストラリアの北クィーンズランドの湿潤熱帯地域に固有の両生類です。1990年にはじめて個体群の減少が確認されてから、個体群は減少を続け、ダントゥリ熱帯雨林の南にある高地では亜群の消失が確認されました。個体群の衰退の要因は現時点ではわかっていません。1988年から、湿潤熱帯地域における本種の生息地が保護されたため、生息地破壊はもはや脅威ではありません。現在の研究では、本種および他の両生類の衰退にウィルス感染かツボカビの一種の菌類のような疾病が影響した可能性を検討しています。

ファインラインド・ポケットブック(Fine-lined Pocketbook:Lampsilis altilis)

ファインラインド・ポケットブック

Photo (c) Wendell R. Haag

ファインラインド・ポケットブックは、米国固有の淡水産貝類で、絶滅危惧II類に指定されています。この種はアラバマ州の5つの川の下流域に見られます。その生息域全体にわたって本来の生息地から除去されたため、いまでは支流の入り江にのみ生息しているようです。生息地の改変、赤土の堆積、および水質の悪化によって個体数が減少しましたが、いまもなおこれらは主要な脅威と考えられています。

イースタン・ケープ・ロッキー(Eastern Cape Rocky:Sandelia bainsii)

イースタン・ケープ・ロッキー

Photo (c) Jim Cambray

イースタン・ケープ・ロッキーは、南アフリカの東ケープ州を流れるいくつかの川の限定された区域に生息する絶滅危惧II類の淡水魚です。この種に対する主な脅威は、生息地の改変、外来種の侵入 (sharptooth catfishの導入)、他の流域への移動、ダム建設および過度の水利用です。過去30年にわたって、個体数は著しく減少しました。