レッドリスト

 

レッドリスト2004 ケーススタディ

以下の文章は、世界生物種アセスメントから取ってきたケーススタディの概要である。生物種への脅威や絶滅種、絶滅の淵から適切な自然保護活動によって回復した種などが紹介されている

項目 〇脅威   〇絶  〇自然保護の成功

〇脅威


過剰利用によって絶滅の淵においやられるーミナミセミクジラ
ミナミセミクジラの捕獲は、捕鯨業者が南氷洋に捕獲地を移した1770年代から始まる。1850年には個体数は、それまでの10分の1へと減少した。にもかかわらず、ミナミセミクジラは、1935年に、南半球全体で僅か300個体しかいないという状況になってやっと保護された。個体数の回復傾向は1970年代まで見られず、1997年までに、南半球で7000個体と推定されている。
ミナミセミクジラに関する詳細は世界生物種アセスメントP120を参照。この写真の利用に当たってはDve Watts Photographyの許可を得て欲しい)


過剰漁業-海洋生態系への脅威
海生魚類はIUCNレッドリストでもまだ十分に把握できていないグループである(15,000種のいるといわれるうちの487種しか評価できていない)。レッドリストのデータは海生魚類の全体的な傾向を十分に持っていないが、海生生物群のうち(サメ、エイ、タツノオトシゴ)、比較的評価が進んでいるものでは、過剰利用が海洋生物種にとって重要で、重大な脅威であることが明確になっている。例えば、漁業と貿易のデータを見ると、メガネモチノウオ(Cheilinus undulates)はこの10-15年の間に50%近く減少したことがわかる。
海生魚類の減少に関する記事は、世界生物種アセスメントのp61-62、P89-90 を参照

カメ類の過剰捕獲
東アジア・東南アジアの陸産カメ類および淡水産カメ類のほぼ全種で、人間による消費や漢方のための捕獲によって深刻な減少が見られる。1996年以降、絶滅危惧ⅠA類に属するカメは、10種から25種に増加し、絶滅危惧ⅠB類の数は28種から47種に増加した。絶滅危惧種が10年足らずの間に、ほぼ2倍に増えたのは、過剰利用に起因する。東南アジアにおける個体数の減少に伴い、カメ類捕獲の中心がインド亜大陸に移りつつあるという兆候もあり、おそらく遠くアメリカ・アフリカにもその動きがある。更に、ペットコレクションとしての取引が、陸産カメ類に対して深刻な影響を与えている。
カメ類減少に関する詳細は世界生物種アセスメントのp19-20を参照。

非意図的な汚染で衰退したインドのワシタカ類
近年、南アジアでは、ハゲワシ属(Gyps)のワシ類が、家畜用の薬物やジクロフェナク(後述)などの毒性が動物の死体を餌とする鳥に影響を与えたため、95%以上の減少が起こった。ジクロフェナクは、人間の薬として広く用いられているが、1990年初頭、インド亜大陸の家畜市場に持ちこまれた。ハゲワシ属は、通常、動物の死体を消費することで、病気の危険を減らし、衛生の役に立っていた。ハゲワシの減少に伴い、野生動物の死体が放置されるようになり、人体の健康への危険が高まっている。野生の犬が掃除役の穴を埋めているが、野生のイヌの増加で狂犬病のリスクが高まっている。家畜に対する薬の利用については緊急に規制が必要であり、また、3種のハゲワシの捕獲個体の繁殖を確立する必要がある。
ハゲワシ類の写真の利用にはARKiveのウェブサイトをご覧ください


サメ・エイ類の世界規模のアセスメントは、初期段階で、この分類群の18%が絶滅の危機にあることを明らかにした
成熟までの期間が長く、個体数増加率の低いサメ・エイ類は、過剰漁業や生息地の破壊に抵抗力がない。今日まで、IUCN種の保存委員会のサメ・エイ類専門家グループは、世界のサメ・エイ類の3分の1を調査し(約1,100種のうち373種)、17.7%が絶滅危惧種にリストされ、18.8%が準絶滅危惧種、37.5%が情報不足、25.7%が低懸念にリストされている。
サメ・エイ類に関する情報は世界生物種アセスメントのP21-22を参照。


気候変動による絶滅の危機の加速
気候変動の結果と見られる極端な天気は、いくつかの地域で、両生類の減少と結びついている。コスタリカ高地では、オスアカヒキガエル(Bufo periglenes)を含むカエル類の20種が1988年に突然減少し、姿を消し,それに次ぐ減少が1994年、1,998年の調査で明らかになっている。
アンデス地方のエクアドルは、jambato toad(Atelopus ignescens)の生息地であったが、1962年から1998年のうちに2回だけ記録されている乾燥した年の直後、1,980年代頃までにわかっていた生息地47カ所から完全に消えてしまった。
両生類の消失や他の気候変動に関する種の減少に関する記述は世界生物種アセスメントのP37とP98を参照。

 

〇絶滅

近絶滅種(Possibly Extinct)
IUCNレッドリストプログラムは、既に絶滅したと思われる絶滅危惧ⅠA類の種(絶滅危惧ⅠA類(近絶滅)を特定する基準を作成した。両生類や鳥類に対して、近い将来に絶滅と宣告されるであろう絶滅種の数を特定するよい指標となるだろう。全体で、208種が絶滅危惧ⅠA類(近絶滅)にリストされている。これに分類される両生類122種の減少は近年生じたものである。鳥類では18種が近絶滅であり、それには、nukupu'u (Hemignathus lucidus)(1996年ハワイで最後に観察された)やアオコンゴウインコ(Cyanopsitta spixii 2000年ブラジルにて最後に確認)が含まれる。哺乳類や爬虫類、魚類、貝類、植物といった他の分類群の評価は未完成だが、近絶滅種は多く存在するだろう。
アオコンゴウインコの写真についてはARKiveのウェブページを参照。


両生類の減少

近絶滅と評価される両生類122種のうち、113種は1980年に減少したと思われる。これらのほとんどは、アメリカ大陸の中部および南部でおこっている。その他の近絶滅種は、オーストラリア、インドネシア、中国、ケニヤ、タンザニアに生息している。ドミニカやスペイン、ニュージーランドからの最新のレポートによると劇的な減少は拡大しつつある。ほとんどの場合、絶滅は突然おこり、気候変動によって拡大した高い伝染率を持つ菌性の病気(chytridiomycosis)が主な原因とみられている。
現在の破滅的な両生類の絶滅によって、重要な進化の一系統が失われようとしている。既にオーストラリアのイハラミガエル類(Rheobat rachidae)をみることはできず、チリやアルゼンチンに生息しているダーウィンガエルは(Rhinodermatidae)、ニュージラーランドに生息するムカシガエル科(Leiopelmatidae)と同様深刻に危険な状況にある。
ヒキガエル科(Bufonidae)はに大きな影響を受けており、最も美しいカエルの仲間であるアテロプス(Atelopus species)も危険な状態にある。両生類の絶滅は急速に起こり、両生類のモニタリングをしている研究者はほとんどいないため、両生類の状況について明確で最新の状況を得るのが困難な状態である。しかし、現在起こっている絶滅はきわめて深刻な状態であるということをデータは示している。
両生類の減少と絶滅については世界生物種アセスメントのP37-P38、および世界両生類アセスメントを参照。


アメリカ淡水貝類の絶滅 - 見過ごされた破滅
淡水生物の絶滅はアメリカで最も記録されており、107種の絶滅が知られている。貝類(二枚貝や巻貝)は特に深刻な影響をうけてきた。アメリカの淡水生物種の絶滅107種のうち78種が貝類である。このような絶滅に至る主要な原因は、生息地の破壊やダムに起因する環境変化(巨大で自由に流れている川を池のたぐいにかえた)と考えられている。しかし、汚染や侵略的外来種(例えばカワホトトギス)も既に貝類の個体数に影響を与え、多くの種に脅威を与え続けている。
この記事の全文は世界生物種アセスメントのP43を参照。


ポリネシアマイマイの消滅 貝類の生きる場ではなかった
過去30年にわたり、フランス領ポリネシア陸産貝類は外来種によって最も劇的な被害を受け、絶滅が起こった事例と見られている。ソサイエティーアイランドの固有種であるポリネシアマイマイ属の72%が、ヤマヒタチオビガイ(Euglandina rosea)の導入の結果、絶滅したのだ。ヤマヒタチオビガイは、もとは、アフリカマイマイ(Achatina fulica)の拡大を防ぐ目的で、1975年にタヒチに生態学的防除のために導入された。しかし、より小型のポリネシアマイマイを捕食するようになり、このグループの急速な減少が始まった。僅か5種のみが現在残されている。ポリネシアマイマイの絶滅と残された5種に対する保護活動については、世界生物種アセスメントP93を参照。

セントヘレナオリーブ

セントヘレナオリーブ(Nesiota alliptica)は、島の高地・中東部の峰に生育する小型の植物である。19世紀には、おそらく生育地の損失によって希少な存在となっており、1875年には1,215本が記録されている。1977年の8月に再発見されるまでは、絶滅したものと思われていた。残念ながら、この植物は菌性の伝染病に対して極めて弱く、保護活動の間も絶えずダメージを受け続けていたのだろう。1994年の10月、最後の野生個体の死亡が発見され、この種は「野生絶滅」種に分類された。セントヘレナオリーブは飼育下での生存を続けたが、繁殖を続けることはきわめて難しいことが証明されていた。最後の苗木が病気にかかった兆候を見せ、2003年の乾燥していた冬に続いて急速に衰えていった。2003年の12月、種の生存のための多大な努力にも関わらずセントヘレナオリーブは絶滅が宣言された。
セントヘレナオリーブの消失に関する詳細は世界生物種アセスメントのP36参照。また写真についてはARKiveのウェブサイトを訪れて欲しい。

 

〇自然保護の成功

再導入は成功する場合があるが、必ずしもベストな選択肢ではない
現在36種の動物、24種の植物が野生絶滅と評価されている。これらの種にとっては、将来、飼育個体または人工繁殖個体をその本来の生息地に再導入することが、再生のための唯一の方法だろう。しかし、繁殖個体を支える十分な生息環境が残されている場合か野生絶滅を引き起こした要因が解決している場合にのみ、再導入は成功しうる。

例えば、台湾の固有種であるツツジの仲間(Rhododendron kanehirai)は、唯一の生息地として知られていた場所がダムの建設によって完全に破壊されてしまっているため再導入は不可能となっている。それとは逆に、グアムクイナ(Gallirallus owstoni)は本来の生息地に再導入することが可能なほど十分な生息地が残っているにもかかわらず、捕食者である外来種のブラウンツリースネーク(Boiga irrelgularis)が未だ存在するため常に保護する体制が求められている。しかし、すべての再導入プログラムが失敗の憂き目を見ている訳ではない。チュニジアのシロオリックス(Oryx dammah)の再導入は非常にスムーズにいっており、再導入個体の繁殖が2世代にわたって行われ、この種はダウンリストされることになった。他にも再導入の成功が期待されているものにクロアシイタチ(Mustela nigripes)やレッドウルフ(Canis rufus)、カリフォルニアコンドル(Gymnogyps californianus)、マジョルカミッドワイフトード(Alytes muletensis)、 セントヘレナレッドウッド (Trochetiopsis erythroxylon)がいる。
再導入される種についての詳細は世界生物種アセスメントのp130-133を参照。

地域の活動 絶滅の危機にあるオウムの保護

自然保護にとって、地元地域の教育と理解(awareness)は、重要な役割を担っている。この良い例が、絶滅危惧ⅠA類のキミミインコ(Ognorhynchus icterotis) と絶滅危惧Ⅱ類のヤシの仲間(Ceroxylon quindiuense)である。このオウムは、営巣と休息をこのヤシの仲間に依存している。コロンビア・アンデス地方では、伝統的に、「ヤシの日曜日」に、プロセッション(行列で進みながら祈りを唱える)や教会行事のためにこのヤシを伐採してきた。野鳥保護基金は、ヤシの伐採に代わる代替法の支援をカトリック教会と共に行いながら、全国規模で徹底的な環境に対する理解を深めるためのキャンペーンを行ってきた。ProAvesは、エコロジーグループ「自然の友(Friends of Nature)の設立に協力し、この団体はヤシとオウムのポスターを普及させると共に、コンサートや映像政策も行っており、地方政治の人材育成活動を行っている。
詳細は、世界生物種アセスメント(p177)を参照。


保護地域が重要な避難所を提供している
多くの種が、保護地域に閉じ込められている。彼らは保護地域以外の生息地を失ってしまい、そうでもしなければ絶滅してしまうだろう。典型的な事例が絶滅危惧ⅠA類のコビトイノシシ(Sus salvanius)である。それまで、この種はヒマラヤの丘陵地帯に広く生息していたが、現在インドのマナス・サンクチュアリにしか生息していない。
保護地域は現在地表の12%を占めているが、1,486種のギャップ生物(生息地が保護地域などで全く守られていない種)が存在している(内、哺乳類、鳥類、両生類、陸ガメ、淡水産ガメ846種が含まれている)。これは、既存の地球保護地域ネットワークがまだ不完全であり、一層の改良が求められていることを意味する。保護地域と地域に根付いた自然保護活動の詳細については、世界生物種アセスメント(p121-129)を参照。コビトイノシシの写真はARKinveのウェブサイトを参照


絶滅のおそれのある島嶼の鳥類保護のための生息地の復元 −ラロトンガヒタキ
ラロトンガヒタキ(pomarea dimidiate)は、クック諸島のラロトンガ島に固有の鳥である。1800年代の中期までは非常に一般的な種であったが、クマネズミ(Rattus rattus)といった捕食者の出現以降、急速に減少していった。1900年代初頭に数羽確認されたが、1973年まで、一度も発見されることはなかった。1987年の調査では、38個体が生息すると推定されたが、これも減少している。1988年、捕食動物(特にクマネズミ)の徹底的な防除を含む再生計画が実施された。これは成鳥の死亡率を減少させ、無事に営巣する機会を増やし、2000年には個体数が221羽まで回復した。それに伴い、若い個体30羽がネズミのいないアチウ島に移動されており、保険のため、第二の個体群を確立するという試みは成功しつつある。
ラロトンガヒタキに関する詳細は、世界生物種アセスメントのp124を参照。



絶滅危惧種を保護するための積極的な生息地管理—カートランドアメリカムシクイ
カートランドアメリカムシクイ(Dendroica kirtlandii)は、非常に変わった繁殖地(水はけの良い土地に育った樹齢5-23年の若いジャックパインの木)を必要とする。これはアメリカ・ミシガン州の南半島部という限られた場所にしか存在しない。1961年に502羽いた雄鳥が1971年に201羽まで減少したのを受け、持続可能な営巣に適した生息地の増加とムシクイの巣に卵を産み自身の巣へと変えてしまうコウウチョウ(Molothrus ater)の除去を中心としたプログラムを実施した。結果、2000年には個体数が600を超える所まで回復した。
カートランドアメリカムシクイに関する全文は世界生物種アセスメントp123を参照。


再導入の成功—ミナミシロサイ
南アフリカに広く生息していたミナミシロサイ(Ceratotherium simum simum)は、19世紀末には20-25頭まで減少してしまった。ウンフォロージ動物保護区による保護が始まり、個体数が増加し始め、1960年までに少なくとも700頭まで個体数が増加した。その後まもなくして、捕獲個体をかつて生息していたその他の保護区に移動することが可能となり、また、必要とされたため「オペレーション・リノ」が発足した。その後、30年にわたって、4,500を越えるシロサイが他の保護区や他の生息国の自然保護当局に引き渡され、1986年からは1,000を越える個体が民間団体に売られるようになった。2002年までに、アフリカの保護地域外で生息するミナミシロサイは11,500頭にまで増え、7カ国で250の群れが確認されている。アフリカミナミシロサイの個体数の4分の1が、個人が所有するものであり、このことが、野生生物産業の経済的な生存に重要や役割を担っている。
このミナミシロサイ記事の全文は、世界生物種アセスメントのp125を参照。


捕獲制限—whiskery sharkの持続可能な漁業
ドチザメの一種whiskery shark(Furgaleus mackメジロザメ目 ドチザメ科の一種)は、オーストラリア西部で1,940年代頃から漁業の対象種とされてきた。1970年代後半や1980年代初期には、捕獲数が劇的に増加し、個体数が本来の30%にまで急激に落ち込んだ。これに対して、西部オーストラリアでは、持続的な利用管理手法を導入した。以降、whiskery sharkの生息数は、ほぼ横ばいで、本来の生息数の30〜40%程度を12年(約2世代分)維持している。この資源の持続的回復のため、成体の死亡率と個体数増加を考慮して、この生物種の成長に重要な繁殖地を2ヶ月間漁業停止期間とした。継続的な漁業管理は、whiskery sharkの個体の利用を低い水準に維持し、少しずつではあるが回復を目標としている。
whiskery sharkの回復計画についての詳細は、世界生物種アセスメントのp134を参照。


徹底的な管理手法で返ってきたチャタムヒタキ
チャタムヒタキ(petroica traversi)は、ニュージーランドのクリスマス諸島でのみ見られる鳥で、自然保護活動が大成功した事例としてよく用いられる。この島への人間の定住に伴って、その生息地である森林の損失や質の低下と人間によってもたらされた猫やネズミの捕食によって、チャタムヒタキの個体数は急速に減少していった。1976年には、その個体数が僅か7羽にまで減少し、全個体が、持続可能な生息地を提供するために120,000もの樹が植林されたマンゲレ島に移された。にもかかわらず、1980年には5羽まで減少した。その後、営巣地の保護、餌付け、人工繁殖プログラムが確立され、徐々に個体数が回復を始めることになる。個体が、後にサウスイースト島に導入され、1989年には100個体まで上り詰めた。1990年代も個体数は増加を続け、現在250羽を維持している。
チャタムヒタキの回復に関する記事の全文は、世界生物種アセスメントのp133を、写真についてはARKiveを参照。

捕獲個体の人工繁殖の成功によって回復したマジョルカミッドワイフトード
マジョルカミッドワイフトード(Alytes muletensis スズガエル科サンバガエル属の一種)は、スペインバレアリック諸島の1つマジョルカ島にのみ見られるカエルである。化石資料によると、このカエルはおそらく2000年前までマジョルカ島に広く見られる種であったが、導入されたヨーロッパヤマカガシ(Natrix maura)による捕食、アオガエル(Rana perezi)との競合によって急速に減少した。最近では、繁殖地である小河川の水の過剰利用による生息地の損失で絶滅危惧ⅠA類に記載されていた。1985年、保護増殖計画が開始され、1989年に再導入が実施された。自然保護活動として現存する野生個体群の回復支援の実施と連携して、再導入の実施、生息地の創出と管理によって個体数と生息範囲が拡大していった。回復計画は継続する必要があるが、この種の観察状況は改善しており、絶滅危惧Ⅱ類にまでダウンリストされることとなった。
マジョルカミッドワイフトードについては世界生物種アセスメントP131を参照。


研究、管理、再導入 クロアシイタチ
北アメリカの最も希少な種であるクロアシイタチ(Mustela nigripes)は、絶滅の危機にある生態系に依存して生存している。プレーリードッグは、イタチが主に捕食し、生態系の維持に重要な種であるが、プレーリードッグ駆除キャンペーンにより大量に捕獲されてきた。1985年には、最後のクロアシイタチの野生個体群が、イヌの伝染病によって大きな被害を受け、またペストの蔓延も重なったため、野生では絶滅したと考えられていた。種の保護活動によって、18個体が捕獲・飼育されていた。効果的な繁殖プログラムや再導入プログラムを通じて、クロアシイタチは回復した。1987年以降、5,000の個体が飼育下でうまれ、1,800匹以上が北アメリカの草原に放された。レッドリストではいまだ野生絶滅となっているが、近い将来再評価されることが期待されている。クロアシイタチに関する記事は世界野生生物種アセスメントのP132を写真についてはARKivesを参照


外来の捕食動物の駆除がオオマダラキーウィの再導入を成功させた
生息地の破壊や外来の動物(ネズミやネコ、オコジョ、イタチなど)によって、オオマダラキーウィ(Apteryx haastii)は、不幸にもかつて広く分布していたニュージーランドから姿を消してしまった。この減少を食い止め、かつての生息地へと回復させるために、ロトイティ自然復元プロジェクトとして、北島ネルソン湖国立公園で重要な一歩が踏み出された。
 

捕食動物の駆除プログラムは、保護区の中の5000ヘクタールに及ぶナンキョクブナの森で実施された、この森がこれまでオオマダラキーウィの生存を支えてきたのだ。現在の状況は良好のようで、再導入プログラムの最初の一歩として、2004年の5月、9羽の飼育個体が放鳥された。この9羽が中核となる繁殖個体群が形成される事が期待され、例えばカカのような他の絶滅危惧鳥類の保護の成功例となることが期待されており、このプロジェクトの成否の指標ともなっている。
詳細を知りたい方は、Paul Gasson pgasson@doc.govt.nzまで。


スウィフトギツネの再導入 生態系と文化の保護
スフィフトギツネ(Vulpes velox)は北アメリカのキツネ類の中で最も小さなキツネであり、北アメリカの草原固有の動物種である。先住民族にとっては、歴史的にかかわりの深い動物であり、精神的文化的な象徴でもあるが、農業や牧畜業からの迫害で急速に個体数を減らしていた。カナダでは、1978年に絶滅が宣言され、アメリカでも本来の生息地の10%にまでその生息域を減少させていた。
 

今日、コックレイン生態学研究所の貢献により、スフィフトギツネを巡る環境は明るいものとなっている。コックレイン研究所は1972年スフィフトギツネの繁殖計画を開始し、単独で再導入個体を飼育したのだ。スフィフトギツネは現在カナダに再導入され、その個体数は655頭を超えるものと見られている。この活動のおかげで、カナダでは絶滅種から絶滅危惧ⅠB類へとダウンリストされた。


 1998年、アメリカ、モンタナ州の先住民ブラックフットネイションは、スフィフトギツネが戻ってくることが彼らの精神的文化的アイデンティティーを統合させるものと考え、彼らの部族の土地に再導入する計画を要求した。スフィフトギツネは1950年代にモンタナから姿を消していたのだった。野生繁殖個体はすでに確立、回復し、プレーリーの生態系のキースピーシーズであるだけでなく、伝統的文化の重要な一部となっている。ブラックフット導入事業が成功を収めたことにより、ブラックフット連合のメンバーである、カナダ南西のアルバータ市が、スフィフトギツネの再導入の求め、2004年の9月11日には最初の放獣が行われた。
詳細については、Clio Smeeton(cei@nucleus.com)


回復?減少?オーストラリア東部のザトウクジラ(絶滅危惧Ⅱ類)
1950年代後半から1960年代初頭にかけて、個体数が深刻なまでに落ち込んでいき、その回復が「夢」のように思われていた、オーストラリア東部のザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)は、非常に緩やかに回復を始め、少なくとも絶滅寸前の危機というレベルからの回復を果たしていると期待されている。繁殖のため熱帯地域から南極地域まで定期的に回遊する南ザトウクジラの6つの個体群については、Dan Burns博士と共同研究者Peter Harrison(サザンクロス大学鯨類研究センター(SCUWRC)ディレクター)が、オーストラリア東部沿岸に沿って回遊する第五グループの回復に着目して研究を行っている。
 

「この個体群の本来のサイズは、15,000〜30,000頭と考えられているが、過度の捕鯨圧力(特にニュージーランド南部)によって、1959-61年の間に少なくとも25,000頭が食用又は工芸品のために捕獲され、1960年諸島には、個体数が数百頭にまで落ち込んだ」とBurns博士は語っている。1954-62年の間、操業を行った捕鯨基地のある、オーストラリア大陸東部のバイロン・ベイでは、ケープバイロンクジラ研究プロジェクト(CBWRP)が、10年間活動を行っており、東部沿岸のいくつかの個体群の回復の努力のジグソーパズルの中で、多大な科学的貢献を行っている。写真による個体同定と遺伝子分析が、中核のプロジェクトであり、個体数が約5,000-6,000まで回復するのを助けた。

共同研究者Harrisonによって、IUCNのレッドリストで危急種にリストされていおり、このザトウクジラ第5グループは完全に回復したわけではないということを認識しなければならない。サザンクロス大学鯨類研究センターの設立は、CBWRPのような世界の絶滅危惧種に対して行われる研究が継続し、この個体群の状況がより詳細になることを意味する。この個体群が直面する脅威は、1950-60年代に起こったような極端で劇的なものではなく、魚網に巻き込まれるといった事故、船舶交通量の増大と船との接触事故といったものが現実的にあるし、また、いくつかの国による商業捕鯨の再開の圧力も依然として存在する。クジラの将来は明るいが、必ずしもそれは保障されているものではないのだ。
 詳細については、いかに連絡を取って欲しい。マルチメディア環境(Andrew Nichols)とサザンクロス大学鯨類研究センター(共同研究者 Peter Harrison博士、Dan Burns博士)
 サザンクロス大学鯨類研究センター Tel: +61 (0)266203815; Email: dburns12@scu.edu.au



 

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