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保護地域

IUCNは、生態系を守り育てるために、さまざまな保護地域へのアプローチを行っています。

保護地域を結ぶコリドー

バイオリージョナルアプローチ(bioregional planning)は、いくつかの保護地域をより広範囲な景観へと統合する価値ある新しいアプローチです。残存している原生地域は、人間の利用に便利なように、大幅に変えられた土地に囲まれ、より小さな断片へと変えられてしまったため、バイオリージョナル計画は、とりわけ重要になっています。その目的は、人々のニーズに対応する一方、景観全体にまたがる生物多様性を維持することです。

バイオリージョナルアプローチは、コリドーとしばしば関連づけられます。自然保護に携わる人は、国立公園を併せてつなぎ、野生動物の移動を可能にするため、複数の景観にまたがる大陸規模の長いコリドーにしようとしています。これは、単純なアイディアとグランドスケールの勇ましいセンスとを結びつける、計り知れない政治的、公的アピールを持つ概念です。IUCNは、保護地域の考え方を拡大し、それらを一緒につなぐイニシアチブの中心にいます。中央アメリカ生物学的コリドーでの最も顕著な例は、1997年の定例サミットにおいて地域の国々の大統領により、原則に合意が得られました。

しかしながら、コリドーは、新たなアプローチのごく一部です。コアエリア(核心地域)が完全な生物多様性を維持するのに十分な広さを持つことは必要不可欠です。核心地域とのこりの景観の間に、緩衝地帯が必要です。地域の生態系を回復するとともにカテゴリー5(景観保護地域)とカテゴリー6(資源管理保護地域)を用いるという大きな展望があります。そして、常に、食物、木材、その他の人が必要とするものを生み出す生物多様性が維持される必要があります。

IUCNの世界保護地域委員会(WCPA)は、この魅力ある新しい概念を研究し、西オーストラリア、北西アメリカ、ブラジルの南東サンゴ礁、ブータンでの例を紹介しています。 より広範なネットワークの提言が含まれています。保護地域は、地理的にはつながっていなくても、保護地域から水を供給される町や市にとって、また保護地域に依存する観光産業にとって、社会的、経済的につながっています。WCPAは、社会に対し、熱心に保護地域の利益(物質的なものも、非物質的なものも)を説明しています。これらの価値が感謝されるものであれば、共同体の利益と、持続可能な資金投下において、保護地域は関心を引き、投資されることができます。これが我々のアプローチの中心なのです。

20世紀の締めくくりの10年における、保護地域の重要な課題は、保護地域は地域社会と共に、地域社会のために働く必要があるということです。過去においては、しばしば国立公園は、地域社会に相談もなく設定され、いくつかのケースでは、地域の人々は、彼らの伝統的土地への立ち入りや食料をはじめ、彼らが依存している他の物資への接近を禁じられてしまいました。今日、保護地域管理者は、過去の傷を矯正し、地域に人々が利益を分かち合うよう保証するために働いています。WCPAは、地域社会と現地の人々とが公園管理においてパートナーになる形態の共同管理を支援して、1999年には、地域コミュニティーと保護地域に関する特別委員会を設置しました。

ブータンのコリドー

ブータンのコリドー

平和公園Peace Parks-国境をまたぐ保護地域

国家間にまたがる国境地域は、人里離れた山岳地帯や、渓谷や、海洋地域や砂漠など、生物多様性に富んだ地域である場合が少なくありません。このような国境地域を保護地域として設立することは、生物多様性を保護するだけでなく、両国の(とりわけ領域紛争のある国同士)協力関係を築く有力な手段になるという概念が出てきています。もちろん、保護地域の設立がそれ自体で紛争を解決するわけではありませんが、保護地域が解決策の一部を占めることは可能です。例えば、ペルーとエクアドル間の国境論争を解決する条約は、「平和公園」の準備を含んでいます。さらに、中東の平和に関するワイ協議も保護地域設立に関する内容を含んでいます。

1997年9月に、IUCNは、南アフリカにおいて平和公園財団と共に組織した、「平和公園」に関する会議を開催しました。この会議と、後にイタリアで開催された会議において、IUCNの世界保護地域委員会は環境法委員会と共に平時並びに戦時における境界にまたがる保護地域に関する運営規則の案文と、管理ガイドラインを作成しました。これは今や、環境と安全保障に関するIUCNのイニシアチブの一部として、コスタリカにある平和に関する国連大学、平和公園財団、WWFとの共同による'平和のための公園'プログラムへと拡大されています。

国境に沿った保護地域の数は、1990年代には、ほぼ2倍になっています。もちろん多くは争いのない地域にあります。国境の両方にまたがる保護地域は、安全保障を確立する便利なものさしであり、多くのレベルで協力とコミュニケーションを促進します。国境はしばしば自然の境界であり、両側にある保護地域が効果的な自然保護のために必要とされます。1997年のWCMCとWCPAによる研究によれば、世界には、48の独立した平和公園と112の国境からなる 136の国境をまたぐ保護地域があることがわかっています。平和公園並びに国境公園は、自然保護と人道的配慮につながり、境界の向こうにある真の利益-すなわち世界平和に貢献する重要な価値を持つものです。